まだみんなに気付かれていない 商品やサービスの『価値』の第一発見者になろう
本当は必要としている人がいるのに、気付かれず見向きもされていない考え方や、商品・サービスが世界にはたくさんある。そういうものを伝えて、人を動かす広告に興味を持ったのです。申し遅れましたが、東急エージェンシーの堀内有為子と言います。コピーライターとして先輩からの教えや体験から学び取った、自分なりのコピーを書く手順をご紹介します。
☑誰かにコピーを見せて、何についてのコピーだと思うか聞いてみる。
☑なぜ、このコピーで課題に応えられていると思うのか説明してみる。
☑企業や製品を人に見立てた時に、そのコピーを口に出しそうかどうか想像してみる。
もしも「良いコピーとは?」と質問されたら、皆さんは何と答えるでしょう。「人の心を動かすもの」「新鮮な言葉使いや言い回しのもの」「逆に10年後でもグッとくるもの」など。コピーを書く人の数だけ答えはあるのかもしれません。それくらい良いコピーの定義は、人によってそれぞれかと思います。
かく言う私も「難っ!」となりながら、この原稿を書き進めています。この問いにどう答えるかを肴に、8時間くらいは飲んでいられそうです。ですが、「正しいコピーとは?」という質問であれば、すぐに答えることができます。答えはひとつ。「課題に応えるもの」だと私は考えています。
これが意外と難しい。というのも、コピーを書き始めたばかりの時は無意識のうちに「コピーらしいもの」を書こうとしがちだからです。ちょっとした語呂の良さや気の利いた言葉遊びが入っていないとコピーではないのではないか、そんなバイアスがかかっていることがよくあります。そのため、コピーを書く過程の中で、そういう言葉と出合ってしまうと「見つけた!」となってそれを正解のように感じてしまうんですね。
この「見つけた!」の快感はとても強烈ですが、そう思った時ほど一度原点に立ち返って、課題に応えているかを確認してみてください。もちろん語呂あわせや言葉遊びの部分でインパクトを残しているコピーも多くあります。しかし多くの場合、消費者が求めているのは製品やサービスによって自分が得られるメリットが何であるかを伝えてくれるコピーです。なので、当たり前のように課題に応えた上で、それをどう言うかについて考えてもらえたらと思います。
「宣伝会議賞」のような賞レースであれば、思いつく限りのコピーを出してみるというのも、ひとつの手かもしれませんが、実際の仕事で提案するのは多くて4、5案程度。そこから世に出るのは1案です。そのたった1案で、ターゲットに行動してもらわなければならなりません。しかし、そうは言っても自分の頭と体と時間を使って生まれたコピーは、どれもかわいい子どものようなもの。選ぶのは難しいですよね。
そこで、そのコピーに何の感情も持たない、もっと言うと興味すらないような人に協力してもらいましょう。身近な存在だと、家族や面倒くさがりな友だちあたりが良いですね。そういう方に、コピーを見せた上で「何のコピーだと思う?」と聞いてみてください...