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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

いま、宣伝部の役割とは何か?戦略のプロになるための考え方

高田敦史氏(A.T. Marketing Solution)

    宣伝部の役割とは?

    ☑「クリエイティブ」よりも「戦略」のプロフェッショナルであることを理解する。

    ☑マーケティングとセリングを繋ぎ、顧客に価値を提供する。

    ☑「Scientific」「Artistic」「Journalistic」の3つのスキルを身に付ける。

知っておきたいクライアントと広告会社の関係性

私は大学卒業後、トヨタ自動車の宣伝部に配属されました。その後、商品企画部、海外駐在、トヨタマーケティングジャパン(現在はトヨタに統合)を経て、レクサスのブランドマネジメントに携わりました。今回は、これまでの経験をもとに、宣伝担当者が知っておきたい用語や概念についてお伝えします。

私は、いわゆる「広告業界」の用語や、クリエイティブの専門用語を、宣伝部の担当者が詳しく知っている必要はないと思っています。大切なのは、宣伝部が持つ役割と、他部門との関係性を理解することです。

それはなぜか。理由のひとつは、広告会社とクライアントとの関係にあります。

クライアントとの窓口として業務を行うのが「営業」、いわゆる「AE(アカウントエグゼクティブ)」です。対法人で密なコミュニケーションを取り、よき理解者となります。

次に相対することが多いのは、ストラテジックプランナーです。クライアントの要望をクリエイティブに落とし込んでいく際に、戦略を考える役割を持ちます。

この時、企業の宣伝部は、広告会社のAEとコミュニケーションをとることも必要なのですが、大切なのはストラテジックプランナーとの議論です。宣伝活動において最も大切なのは戦略を練ること。その根幹から綿密に関わっていくことで、私たちの考えも直接理解してもらえるし、食い違いがあった場合の訂正も容易です。

ですから、実はクリエイティブに関する用語よりも、戦略のプロフェッショナルとなり、ストラテジックプランナーと対等に話ができることの方が大切であると、私は考えます。

宣伝部の役割を理解してコミュニケーションのハブに

次に、社内における宣伝部の役割についてみていきます。

「Marketing」という言葉について考えます。「Marketing」は、モノやサービスが売れる仕組みをつくること。このとき、「Marketingの究極の目的とはSelling(営業)を不要にすることである」と考える人もいます。ですが、MarketingとSellingは経営の両輪であると考えます【図1】。マーケターが中長期目線で売れる仕組みをつくり、営業が短期目線で売上げをつくるとしたら、宣伝部は、この両方を理解しながら、ブランディングとセールスプロモーションの施策を推進する役割を持ちます。

図1 宣伝部の役割①
※高田氏資料より作成

このとき、例えばマーケティングを構成する4Pも、マーケティング担当者と営業担当者では重視する内容が異なります【図2】。したがって宣伝部は、その施策の目的は何かを理解し、適した媒体や手段を検討する必要があるのです。時に板挟みになるポジションではありますが、各部がどんな視点で見ているかを理解していれば、適切な...

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