人との関係性を変える言葉 3選
☑「それしかないわけないでしょう」
☑「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」
☑「負けても楽しそうな人には、ずっと勝てない。」
マスメディアが消えてもマスコミュニケーションは残る
私がコピーをつくるときに最近大切にしていることが2つあります。ひとつ目は「言葉の手触りや形」。企画の中で必要な言葉は、やわらかいのか堅いのか、軽いのかずっしりしているのか、形を持つならこんな感じだろうという非言語的な感覚を大切にしています。形を考えることで、核の部分を設定しやすくなります。
2つ目は、「マス」。世の中の大勢の人が注目するような“マスメディア”はなくなりつつありますが、“マスコミュニケーション”は永遠になくならないと思うのです。やはりマスを求めるのが、常に私たちの仕事のミッションでもあるので、多くの人が共感できたり、心が動いたりするものをつくり続けたいですね。そのためには、「社会的視点(社会の状況や動き)×商品的視点(商品やブランドについて)×人間的視点(関わる人の感情や記憶)」のトライアングルのバランスが重要になります。
例えば、サントリーの「人生には、飲食店がいる。」というコピーの「社会的視点」は、「行きましょう」ではなく、「必要だ」という言葉にとどめたこと、“世の中の温度感”を指します。「商品的視点」では飲食店での色々な場面を想像しました。そして、「人間的視点」とは、人々の感情や飲食店での記憶です。このトライアングルをちょうど良い高さの次元でバランス良くできると、気持ち良いなと感じます。
何度も何度もやっていると、このバランスが感覚としてわかってきて、何が欠けているのか気付けるようになります。
若い人や経験の浅いうちは商品的視点やブランド的視点に寄ってしまいがちなのですが、3つをバランス良く同時に考えてみましょう。時代は常に変化していて、ちょっとした出来事でも空気がガラッと変わります。それをしっかり捉えていってください。
手がけた広告はすべて「人」だけを考えてつくった
私はすべてのクリエイティブ制作において「人間」だけは、必ず意識するようにしています。以前対談した予防医学研究者の石川善樹先生がまさに「人間」という言葉の「間」は「Human beings」の「being」だとも仰っていましたが、人間とは、必ず誰かとコミュニケーションをとってつながることで生きているということは最近意識させられます。
コロナ禍を経たり、インターネットやSNSの普及で人間の「間」の部分が変化していますが、変化する前の時代を知っているからこそ、いま「間」の部分を取り上げることが必要なのではないかと思っていました。
そこで、特に飲み物というのは人と人との...