フォワードは9月11日、宣伝会議(東京・南青山)で「"社員の共感を最大化する"インナーブランディングセミナー理念やブランドの理解・浸透が事業やブランドの発展を促進する」を開催。本セミナーでは、インナーブランディングの考え方に加え、先進的な企業の事例を通じ、取り組みを推進するための実践的な手法が共有された。
2社に通ずるブランディング施策 思考や規範を言語化し、共有を徹底
アウターブランディングだけでなくインナーブランディングも手掛け、企業の中長期的なブランディング支援を行うフォワード。昨今、顧客に加え、社員からも愛される企業になるためのインナーブランディングへの注目がますます高まってきていることから、セミナー開催に至った。
第1部では同社取締役副社長の伊佐陽介氏が登壇。伊佐氏によると、掲げた理念やブランドを定着させるため、①思考や行動様式を言語化し、社内共有②言語化されたものを徹底するため、「業務の仕組み」と「組織の仕組み」に落とし込む③実践のPDCAやKPI管理の3点が重要だという。「浸透させたい内容を、社員の身近な業務目標に組み込むことで、自然と行動が進んでいく」と述べた。
第2部ではオイシックス・ラ・大地経営企画部長の西根渡氏、三井不動産広報部の鶴海哲也氏が登壇し、3者によるパネルディスカッションが行われた。
オイシックス・ラ・大地は過去に2度の統合を経験。西根氏は統合後も全社員が共感できるよう理念や行動規範の策定に苦心したと明かす。
「3社とも歴史や企業文化が違うなかで、結果的に大事にしたことは、それぞれの想いをすべて理念や行動規範に盛り込むことだった」と説明。
例えば行動規範については、3社がもつ価値観の何が入っていて、何が入っていないのかをひとつずつ検証し、時間をかけてひとつにまとめたという。こうした社員との丁寧な関係構築が同社のインナーブランディングにつながっているという。
鶴海氏からは、1941年の創業以来、商業施設や住宅など事業展開が極めて幅広くなる中で、希薄化しやすくなっている企業としてのDNAを維持するための三井不動産のコミュニケーションについて説明があった。
「当社はロゴの『&』マークに象徴される、多様性を受け入れて新しい世界を切り開く企業姿勢を大切にしている。1968年の日本初の超高層ビル『霞が関ビル』の開発に代表されるパイオニア精神がDNAとして継承されてきた。これらを伝える取り組みとして、社内報で役員の経験談や仕事への想いを掲載しているほか、プロジェクト経験から得た教訓などを担当者が率直に語る研修も開催。紙面、リアルの両方の場でDNAの継承に努めている」と語った。
取り組みを進める同社だが、いま課題に感じるのは、事業拡大に伴い、「三井不動産とは何者なのか」を顧客に分かりやすく伝えることが難しくなってきていることだという。
しかし、そうした課題に対しても、「さまざまな媒体も存在するが、社員の実際の行動を通じて『会社が目指している方向』を顧客に示すことが最も大切だと思う。その面でもインナーブランディングの重要性に改めて気付かされた」と語る鶴海氏。
社会環境の変化とともに、事業の根幹から大きく変革をしている企業は多い。インナーブランディングもまた、進化が求められている。
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