効果が可視化しづらいと言われてきたコンテンツマーケティング。この壁を打破しようと全日本空輸(ANA)とヤフーは、ヤフーが持つビッグデータを使ったコンテンツマーケティングの実証実験を実施。データを掛け合わせることで、得られた成果とは。
コンテンツマーケティングで若年層との新たな接点づくりへ
全日本空輸(以下、ANA)は、ANAカードのマーケティング施策のひとつとしてBuzzFeed Japan(以下、バズフィード)が提供するネイティブ広告「スポンサードコンテンツ」を選んだ。さらに、日本のバズフィードが米・バズフィード本社とヤフーの合弁で設立されている利点を活かし、今回の施策ではYahoo! JAPANが持つビッグデータを活用できるYahoo! DMPをバズフィードの広告に連携。この連携はヤフーにとっても初の取り組みという。
Yahoo! DMPを連携させた主な目的は(1)「よりユーザーインサイトを捉えたスポンサードコンテンツの提供」、(2)「広告効果の可視化」の2点。そこでバズフィードでの制作・配信・効果検証の3つのフェーズで、ヤフーのデータが活用された。
施策を担当したANAの永山裕氏は「ANAのお客様の中心は40~50代の男性ビジネスパーソン。自ずとANAカード会員もそれに近しい属性となります。ただ、早い段階からブランドとの接点を持っていただき、長いお付き合いへとつなげていきたい。そうした背景もあり、今回のANAカードのプロモーションは20~30代を対象にしています」と説明する。
さらに同氏は「ただ、特に20~30代に対するアプローチは課題として感じていました。一般的に使われるデモグラ属性のターゲティングだけでは振り向いていただけないお客様もいるのではないか。また、ブランドとの距離が遠い層であれば、入り口からANAカード押しではなく、違うコミュニケーションアプローチも必要なのでは、と考えており、今回の取り組みを実施しました」と続けた。
制作ノウハウ×データで読了率のリフトを実現
(1)「よりユーザーインサイトを捉えたスポンサードコンテンツの提供」、(2)「広告効果の可視化」の2点を目的とした今回の施策だが、(1)についてはまずバズフィードでのスポンサードコンテンツ制作に際して、データが活用された。
通常、広告を制作する際には、はじめにクライアントへのヒアリングを行い、バズフィードのノウハウを基に制作する。しかし今回は、ANAカードページにおけるCVページ来訪者の特徴を、データを活用し、事前に分析。その分析結果を基に議論を重ね、ターゲットユーザー像を設定した。
永山氏は「デジタル上の施策は、特にシナリオの基盤になるロジックづくりで手を抜くと、成果に大きく影響すると考えてきました。今回、ヤフーとは制作の前段階で様々な分析を行っています」と話す。その上で、バズフィードのノウハウと独自フォーマットを応用し、ユーザーインサイトを捉えた広告を制作した。
また配信に際しても、Yahoo! DMPを活用。バズフィードでは、配信時にSNS上の属性でターゲティングを行い、広告を配信する。今回はこれに加えてYahoo! DMPとYahoo! ディスプレイアドネットワーク(YDN)による事前分析内容を基に広告への送客セグメントを作成。より粒度の細かいターゲティング配信を実現した。
その結果、4本の広告の平均読了率は、バズフィードで実施している過去のスポンサードコンテンツの平均と比較して117%リフトするという成果を出した。
ヤフーのビッグデータを活用し効果の可視化の難しさを解決
今回の施策のもうひとつの目的に、「(2)広告効果の可視化」があった。これまでコンテンツマーケティングは効果の可視化の難しさが課題としてあがっていた。そこでYahoo! DMPを使い、バズフィードの広告に接触したユーザーのその後の態度変容や行動まで追って、レポートを出している。
その結果、通常の施策では接点をつくりづらかった20~30代の若年層に対しては、バズフィードの広告に接触してから自社サイトに送客する方がコンバージョンにつながりやすいことが分かったという。
この結論に至ったレポートの一例としては、コンバージョン転換率の比較がある。今回ANAとヤフーでは、ANAマイレージクラブサイト(AMCサイト)内のLPからCVページとして設定したANAカード申し込みページへの流入数をひとつの効果指標として分析している。
分析の結果、AMCサイトからANAカード申し込みページへの転換率は、自然流入ユーザーの13%(全体平均)よりも高い15%、ターゲットとなる20~30代だけに絞ってみると平均で18%という結果になったのだ(自然流入における20~30代の平均は16%)。つまり、バズフィードの広告を通してブランドや商品に対する興味関心、理解が深められ、ユーザーの態度変容に繋がっていることが見て取れる。
今回の取り組みについて「データを用い、バズフィードという新たなタッチポイントでアプローチをすることで、通常の施策では振り向いていただけなかったお客様との接点づくりを実現することができたと思います」と永山氏は語る。
さらに同氏は「当社は、お客様との直接接点におけるホスピタリティにご評価をいただいてきた企業です。直接接点でのホスピタリティとは、従業員が一人ひとりのお客様の気持ちを察して、先回りした行動で実現していること。お客様と直接、お話をすることができないマーケティング・コミュニケーション活動においても、ANAならではのおもてなしを実現することが、私たちのミッション。その中で、それぞれ異なるお客様に対して、最適な形で必要な情報をお届けし、よりご満足をいただけるコミュニケーションを実現していきたいと思います」と語った。
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