広告予算が比較的潤沢な大手企業でさえ、「オンラインコンテンツなのに、マス広告基準の“toomuch”なクオリティのコンテンツを提案されて、困っている。もっと安価に、大量制作できないか」と悩みの声をあげるケースが少なくない。ブランドと生活者との接点が多様化する中、メディアやデバイスにあった適切なコンテンツのクオリティとは?

とある広告で「新幹線の刺青を入れた女」を撮影した写真。ボディペイントした女性と銭湯の写真を合成しただけだが、スマートフォン向けなら十分だ。
「こんなの紙芝居じゃないか」――そう言ったのは、私がつくったネットの広告コンテンツを見た、とあるテレビ関係者だ。しかし、テレビもかつては、映画業界から「こんなの電気紙芝居じゃないか」とバカにされていたと聞く。しかし、映画会社が3億円をかけてつくってみたテレビ番組の視聴率は、新興のテレビ制作会社が3000万円でつくった番組と大して変わらなかったそうだ。テレビの画面で、映画の手法は過剰だったのだ。
そして今、テレビとスマートフォンとの間で、同じことが起こっている。スマホ向けコンテンツをCMなど従来のマス広告と同じように制作した結果過剰品質となって採算が合わない結果となるケースを多く聞くようになった。
それでは、スマートフォンに合ったコンテンツの制作方法とは、どのようなものだろうか?私はこれまでに、主にスマートフォンで読まれるWeb記事形式のタイアップコンテンツを100本以上つくってきた。その中で最も大切だと思ったのが、「スマホ向けコンテンツをどう評価するか?」という認識。これが制作者、広告会社、広告主の間でズレていると、まったく上手くいかないからだ。
例えば動画に対する考え方。「今年こそは動画元年」ということで …