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いま、必要とされるクリエイターの条件

デジタル時代、見直すべきは「表現」よりも「コミュニケーション設計」

本間 充(花王)

「企業が求めるべきもの」、つまり「消費者から求められるもの」が変わったということを、社内で議論していますか?――デジタル時代を迎えた今、最も重要な問いかけだと考えています。インターネットが登場して20年が経ち、ネット上での通信販売も普及して、Amazonや楽天だけでなく、自社ECサイトも一つのチャネルとしてようやく重要視されるようになってきました。とは言え、お客さまは、今のネット通販に満足しているわけではありません。なぜなら、今のネット通販の多くは、店頭に商品を置く代わりに、ネット上に商品を置いているだけだから。ネットは本来、お客さまが企業と直接会話できるツールなのに、現状はそこにフォーカスされていないのです。お客さまが望んでいるのは、「自分で商品を探す」ことではなく、「企業に提案してもらう」こと。いまの私の悩みに対して、どんな商品を提供できますか?――これに、自社がどこまで対応するか。これこそ、まず議論しなければならないことだと思います。

顧客接点がオンラインへと広がり、テレビだけでもネットだけでも、ターゲットとエンゲージすることはできない。あらゆるチャネルを網羅すると同時に、チャネル毎に異なるコミュニケーションが求められるため、必要なクリエイティブの量が増え続けている――多くの企業がこうした悩みを抱えているのは事実ですが、その大前提には「既存事業を存続させること」があります。そして、この前提を疑ったことのある人は少ないのではないでしょうか。花王で言えば、お客さまは「洗剤を買いたい」のではなく、洗剤を使って「汚れを落としたい」というのが本質的なニーズ。「自社が消費者から求められていることは何か?」の再定義を試みることで、必要なのは洗剤のスペック説明ではないことに気づいたり、「製造業×サービス」の視点で新たなビジネスを生み出せる可能性に気づいたりできると思います。

費用対効果の見直しが必要

とは言え、それはやや次元の高い議論ですから …

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