マスでもデジタルでも、企業・ブランドと消費者とのコミュニケーションにおいて活用されるコンテンツ、クリエイティブは、「発信後にSNSで拡散していくこと」をめざして企画・制作される必要があったり、「リアルとデジタル、双方の空間での展開」を前提につくられる必要があったり……。求められる機能や役割にも変化が見られる。こうした中、コピーライター、クリエイターの仕事の内容、求められる役割や成果なども、変化を迎えている。
(左から)catch 福部明浩 氏、面白法人カヤック 長谷川 哲士 氏、電通 嶋野裕介 氏。
――皆さんの最近のお仕事を紹介してください。
長谷川▶ 東京メトロ銀座線・丸の内線車内で掲出中の窓上広告を持ってきました。ブランド品買取チェーン「なんぼや」のシリーズ広告です。LINEでブランド品の写真を送ると24時間以内に査定額が返信される「LINE査定」の訴求を目的としたもので、値段が気になるアレコレを写真やテキストで送ると、“ピースフルなコメント”とともに査定額が返ってくるキャンペーンを並行して実施しています。見た人に、その広告をいかに「つぶやいてもらえるか」、そして、それを実際の広告効果につなげていけるかを、常に意識しています。昨年のクリスマス時期に同様のシリーズ広告を展開した際、東京メトロの女性利用客向けのアンケートを行ったところ、2人に1人が「この広告を見たことがある」と回答したそうです。ブランド認知度も、過去に1年間広告を掲出し続けて2%増がやっとだったのが、1~2カ月の掲出で5%増を達成することができました。
長谷川哲士さんが手がけた仕事
全国各地で店舗を展開するブランド買取チェーン「なんぼや」の電車内広告。「なんぼや」の知名度向上を目的に、2014年のクリスマスシーズンに合わせて出稿した同広告で、長谷川さんはTCC新人賞を受賞した。
なんぼやの広告の続編。「芥川賞作家の印税なんぼや?」「新国立競技場なんぼや?」といった広告コピーで、気になるモノの値段のLINEで聞くと手動で返信がくるキャンペーンを訴求する。
福部▶ 広告はスルーされるのが当たり前と言われる中で、すごいですね。
長谷川▶ 今回は広告のコピーだけでなく …