コミュニケーション活動において、膨大な量のコンテンツ、クリエイティブを制作する必要に迫られている企業。その制作業務においては、著作権・商標権の問題がつきものだ。ネット時代、デジタル時代の広告・コンテンツ制作において、広告主企業が知っておくべき商標権・著作権の問題について考える。
近年ではデジタル技術やインターネットの飛躍的発展により、文章・写真・映像・デザイン・音楽などのコンテンツの生成量・流通量が飛躍的に増大している。これには健全な創作や利用の促進というプラス効果もあるが、他方で著作権・商標権などの権利侵害をめぐるトラブルも必然的に発生しやすくなっているといえよう。しかも、検索エンジンの機能向上によって、テキストのみならず画像や動画などの検索精度も高まり、“似ている”実例の発見や検証がますます容易になれば、真に問題があるケースの解決には資する反面、本質から外れた議論をエスカレートさせることにもなりかねない。
このような世の中では、コンテンツ制作に関わる全ての人々にとって、著作権・商標権侵害の問題は他人事ではなくなっている(広告の場合は、必然的に目立ちやすく、商業利用には複雑な利害が絡むケースも少なくないため、なおさらである)。そこで本稿では、これらの権利侵害リスクへの対処法を概説し、関係者の方々の参考に供することとしたい。
著作権・商標権侵害とは
いわゆる「パクリ」かどうかが問題となるケースで、例えば「ロゴAがロゴBの著作権侵害になるか否か」を判定する重要ポイントは、「類似性」と「依拠性」の2点である(この両方を満たさなければ侵害にならない)。これらは法律用語だが、平たく言えば「類似性」は「AとBの共通部分が『創作的な表現』といえること」、「依拠性」は「AがBに基づいて制作されたこと」と要約できる。
A・Bの共通部分が「創作的な表現」ではない場合 …