日本アイ・ビー・エム スマーター・コマース営業部 セールスエグゼクティブ
岩佐朱美氏(いわさ・あけみ)
早稲田大学数学科を卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。ソフトウェア製品開発マネージャー、製品企画マネージャーを経て、2000年より2年間、米IBMに赴任。帰国後はアジア地域におけるソフト販売新規事業の部長に就任。2010年から買収した企業のソフトウェア製品の統合事業などを経験し、2012年1月より現職。
「個客理解」と「リアルタイム対応」
事実に基づく、個客理解
Behavior Marketing
消費者のニーズが、いつ、どこで発生するかが分からないデジタル化の進んだ現在。あらゆるチャネルをシームレスにつなぎ、魅力的なエクスペリエンスを提供することで、顧客満足を高めることが求められている。
しかし「お客様一人ひとりが満足するような最適なタイミング、チャネルを選び、カスタマイズしたコンテンツの配信を実現できるのが理想です。しかし、社内に顧客データや顧客の行動履歴データが散在し、マーケターはこれらのデータを制御できない環境にあることが多い。さらに顧客の行動が断片化しているため、顧客とブランドの間のインタラクションが分析できなくなっています」と日本アイ・ビー・エム(IBM)の岩佐朱美氏は指摘する。
飲食店やアパレルショップなど、フェイストゥフェイスの接客をする業態であれば、“個客”の状況に合わせた最適なおもてなしが可能だ。こうした接客が可能になるのは「顧客のステータス」を理解していること。加えて、ステータスは時間が流れる中で変化していくものだが、ステータスの背後にある文脈を察知することも求められる。岩佐氏は「ワントゥマスのコミュニケーションでは、多くの企業が顧客との接点を“点”で捉えて、背後にある文脈まで理解できていません。顧客の『Behavior』(行動・振る舞い)に基づき、“個客”の行動パターンを解析。そのパターンに応じた、アプローチが満足度向上につながります」と話す。
例えば同じ40代の女性であっても専業主婦であれば、子どもを送り出して家事を終えてホッと一息つく昼ごろにメールのオファーが届けば、目にしてもらえるかもしれない。しかし属性は同じでも、働いている女性であれば平日のメールは読まれないどころか、迷惑に感じられてしまう。そして、この行動パターンを理解したアプローチが満足度を高めるポイントになる。「Webサイトの閲覧履歴、サイトへの流入経路など、デジタル上に蓄積されるデータだけでも、その人の、日ごろの行動パターンは見えてきます」と岩佐氏は話す。
シンプルなことをクイックに
誰にとっても使いやすいを追求
「Silverpop」は大きくは、
(1)顧客・見込み客との接点を通じて得られるあらゆるデータから、その行動、行動パターンを捉え、活用する「Behavior(行動)マーケティング」。
(2)見込み顧客を顧客、さらに優良顧客とし、収益化につなげるまでの全プロセスを管理する「Lead to Revenue Management」。顧客がプロセスのどこにいるかを把握し、一人ひとりの顧客に対して効果的な施策を重ね、リードをナーチャリング(育成)することで、マーケティング活動を収益へとつなげるサポートをする。
(3)個客の行動パターン、ニーズにリアルタイムに対応するEメールマーケティングの3つの機能を提供するツール。
しかし個客を理解し、リアルタイムのマーケティングを可能にするようなツールでは、その運用に際し、マーケター側にもツールの専門知識が必要とされていた。岩佐氏も「当社では、これまで『IBM Campaign』がその役割を担ってきました。今回、現場のマーケターの方たちに、より手軽に導入していただけるSaaS型の『Silverpop』の提供も開始しました。小さい規模で施策のPDCAを回し、そのデータを蓄積することでマーケティング活動の精度向上に貢献していければ」と話す。
「IBM Campaign」は、困難なことを可能に、複雑なことをより簡単に、を支援するソリューションだ。一方、「Silverpop」は、シンプルなことをクイックに、を可能にする。例えば本社で「Silverpop」を導入し、各地域の支社にもアカウントを渡し、権限付与のレベルを本社でコントロールしながら、各支社別のプロモーションにも活用させることが可能だ。「各店舗で、店員がPOPを書き換えるような感覚で、使えるツール」と岩佐氏。
さらにSaaS型であり、利用各社のデータはIBM側のサーバーに蓄積される。IBMでは、これらのデータを統計的に分析し、施策をより効果的にするためのコンサルテーションも提供する。そのため利用社は、自社の実績に基づくPDCAの枠を超えた知見を得ることができ、マーケティング活動の精度を高めていくことも期待できる。さらに「Silverpop」は、直前の接点でのデータも含めた行動パターン分析を行ってくれるので、その時、その瞬間の個客ニーズに合わせた、リアルタイムな対応も実現する。
「ビッグデータが注目されますが、刻一刻と移り変わる消費者の変化への対応を考えれば、大容量のデータを時間をかけて分析するより、日々のアクションを通じて知見を蓄積していく方がマーケティング活動の精度向上には貢献します。実店舗の店員も、商品を売りながら知見やノウハウを貯めていくもの。手軽に運用できる『Silverpop』の活用により、個客ごとの『Behavior』を蓄積し、顧客満足を高める行動パターン分析に活かしてもらえれば」と岩佐氏は話している。
企画協力
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 スマーター・コマース営業部
www.ibm.com/innovation/jp/smarterplanet/commerce/
E-mail.COMMERCE@jp.ibm.com