生活者から共感や信頼を得られ、企業価値や商品価値の向上へとつながるようなコーズマーケティングは、どうすれば実施できるのか。そんな企業の疑問に答えるセミナーが2014年10月21日に開催され、ヒントを求める広告主企業の担当者が多数参加した。
パネルディスカッションには、シチズンホールディングス CSR室CSR推進グループリーダー 山田富士子氏(右)、クロスカンパニーKOE事業部 ブランドマネジャー 篠永奈緒美氏(中)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング 高橋千枝子氏(左)が登壇した。
NGO・NPOが企業の重要なパートナーになる
生活者の共感を得ることがマーケティングの大きなテーマとなる中、社会貢献活動への取り組みが新たな課題となっている。どのような社会問題に取り組むべきかの選定や、具体的な実施事項への落とし込み、NGOやNPOとの連携、さらにはその広報活動まで、取り組むべき項目は多岐にわたる。
本セミナーでは、まずコーズマーケティングの先進企業である王子ネピアの今 敏之氏が登壇した。同社は東ティモールにトイレを建設する「nepia 千のトイレプロジェクト」などにこれまで取り組んできた。「消費者は、経済性やスペックから、ライフスタイルをどれだけ豊かにするかを見るようになった。『皆に喜んでもらえること』を考えるバリューマーケティングの考え方が必要だ」と今氏はその背景を説明した。
続いて、プラン・ジャパンの林 絢子氏が登壇。プランは「途上国の子どもたちとともに地域開発を行う」を掲げる国際NGOで、Because I am a Girlキャンペーンでも知られている。林氏は、企業とNGOの協業のポイントとして、「一貫したストーリーづくり」「支援の継続性」「広報と活動報告」「実施パートナーの選定」を挙げた。
また、プラン・ジャパンがこれまで行った企業との協業の事例として、エシカルジュエリーを販売するR Jewels Japanによるピンキーリングの販売を通じた支援、シチズン時計による女性向けモデルの売上からの寄付などを紹介。協業によって、企業は社会に貢献する姿勢を示すことができ、NGOは活動の認知を広げられることが示された。
社内協力・連携を築くポイント
その後は、コーズマーケティングやCSVに取り組む企業の担当者によるパネルディスカッションが行われた。パネラーとして登壇したのは、シチズンホールディングスの山田富士子氏、クロスカンパニーの篠永奈緒美氏、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの高橋千枝子氏の3名。
山田氏は前述のプラン・ジャパンとの協業プロジェクトのCSR担当者。クロスカンパニーは2014年秋に生産地への負担を減らす「フェアサプライチェーン」の実現を掲げた新ブランド「KOE」を立ち上げており、篠永氏はそのブランドマネージャーだ。高橋氏は、企業が自社の社会的責任として従業員の健康管理に取り組む案件に関わったことから、CSV関連のプロジェクトに関わるようになったという。
ディスカッションでは、社内の協力体制の築き方などが実体験を交えて語られ、プロジェクトチームにマーケティング部門とCSR部門の担当者の双方を入れる必要性が指摘された。
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TEL. 03-5481-7100
今 敏之 氏王子ネピア 取締役 マーケティング本部長 |
林 絢子 氏プラン・ジャパン ファンドレイジング部 マネジャー |