理念・目的を具現化したもの
1月24日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が設立された。いよいよ2020年に向け大会の成功と大会後にも続くレガシーを残すために動きだす。招致プレゼンで繰り返し用いられ、決定後もさまざまなメディアで取り上げられているレガシーについての考えを整理する。
国際的に認識されている考え方として、イベントマネジメントの国際標準規格『ISO20121:イベントの持続可能性に関するマネジメントシステム』では「イベントの後に残される結果」として定義されている。そして、「レガシーは、イベントの物理的、経済的、社会的、環境的な影響を含み、イベントの結果として新たに習得する知識、訓練、基準、ベストプラクティス、技能、組織、システム、関係、パートナーシップ、イノベーションなどが含まれる」※1とされている。この規格は2012年ロンドン大会でも活用され、2016年リオ大会、2020年東京大会でも活用することが表明されている。
また、国際オリンピック委員会はレガシーを次のように説明している。オリンピックレガシーには、大きく、「招致都市にもたらされるもの」と「オリンピックムーブメント全体にもたらされるもの」の2つがある。一般的に「スポーツ」「社会」「環境」「都市」「経済」の5つのカテゴリーに分類することができる。さらに、これらは有形のものと、無形のものがある。※2
整理すると、レガシーとは主催者・社会のそれぞれに対して存在し、イベントを成功に導くための努力の結果として得られるあらゆる変化・成長・効果を指すことが分かる。主催者にとっては「理念・目的を具現化したもの」であり、社会にとっては「 持続する付加価値」であると考えられる。
※1『ISO20121:イベントの持続可能性に関するマネジメントシステム』(2012)ISO
※2『Olympic Legacy』(2013)国際オリンピック委員会
国際社会における日本の立ち位置
2020年東京大会のビジョンについて立候補ファイルでは「2020年オリンピック・パラリンピック競技大会のビジョンは、2011年に東京都によって策定された、新たな長期都市戦略である「2020年の東京」と完全に一致している」※3としている。これを受けて「物理的レガシー」「社会的・環境的レガシー」「スポーツのレガシー」を残すことを表明している。これらのキーワードを組み合わせた中から生まれ、社会に残っていくものが2020年東京大会のレガシーとなる。