欧州のメディアは日本社会や日本企業をどのような目で分析し、報道しているのか。「その視点のひとつに、女性の活用に関わるテーマがある」とジャーナリストの小林恭子氏は指摘する。
テレビ局「フランス24」は6月5日、経済協力開発機構(OECD)の調査結果から、「70%以上の女性が最初の子供を産むと仕事を辞める」という日本の雇用状況を特派員がレポートした。
男性中心の企業文化に批判
筆者が住む英国そして欧州のメディアが日本を取り上げる報道の内容は多種多彩だが、近年、さまざまな形で浮かび上がってくるテーマに「日本の女性」がある。その社会的地位や雇用状況、少子化というアングルである。なぜ女性たちが安心して子供を産めないのかという問いが提起される時、大きな障害として厳しい目を向けられているのが日本の企業全体だ。
具体例をいくつか見てみたい。英国のニュース週刊誌『エコノミスト』が「日本の女性と仕事─国の半分を押しとどめる」(3月29日付)と題する長文記事を掲載した。「国の半分」とは女性を指す。エコノミストは英語圏のみならず世界各国で読まれている。経営幹部、学者、政治家を含む知識層が主な読者で、その影響力は大きい。
最初に紹介されるのが東京大学を出て米コンサルティング会社に就職予定のカワバタ・カレンさんの話だ。米国人の母と日本人の父を持つカワバタさんは米企業に就職予定だ。それでも、クライアントとして伝統的な日本企業と仕事をすることになるため、大いなる不安を抱いている。「夜中まで働くことが頻繁にある、恐ろしいほどに長い勤務時間」や上司や同僚との「飲みニケーション」を懸念する。
エコノミストは経済協力開発機構(OECD)の調査から、第一子を産んだ女性の70%が仕事を辞めてしまうこと、米国ではその比率は30%であり、大きな差があることを指摘する。
働く女性もその多くが ...