「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない……」。そんな悩める人のために、広報の企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。
広報企画書の重要性
小規模飲食店における広報活動は、単なる宣伝を超えて、ブランドイメージの構築や顧客との信頼関係を築くための重要な手段である。しかし、日々の業務に追われ、体系的な広報戦略を立てる時間がない店長は多い。そこで、広報企画書が力を発揮する。広報企画書は、目標を明確にし、施策を整理し、実行計画を立てるためのガイドラインとして機能する。効果的な広報企画書には、目標設定、ターゲットオーディエンスの明確化、施策内容と実行計画、そして、成果測定のための指標(KPI)などが含まれる。まず現状分析を行い、店舗の強みや弱み、外部環境を把握し、広報活動の方向性を定める。その後、来店者数の拡大や客単価の向上を目指し、ターゲットに合わせた最適な施策を計画する。施策のスケジュールと予算を明示し、実行後の成果を評価するためのKPIを設定する。これらをまとめた広報企画書は、店舗の成長を支える戦略的なツールとなる。
視点1
来店者数拡大のための広報戦略
ターゲット顧客の特定とアプローチ
小規模飲食店の成功には、何よりもターゲット顧客の明確な定義が欠かせない。ターゲット顧客とは、店舗が最も訴求したい、または実際に利用している既存顧客を指す。ターゲット顧客を特定するためには、まず、年齢、性別、所得、職業などのデモグラフィック情報をもとに分析を行う。例えば、ビジネス街にある店舗であれば、昼間のビジネスパーソンを主要ターゲットとし、昼食時間に集中したプロモーションを行いたい。
さらには、サイコグラフィック情報(顧客の趣味や関心、価値観、ライフスタイルなど)も考慮することが重要になる。例えば、健康志向の強い顧客層をターゲットとするならば、低カロリーやオーガニック食材を使用したメニューを強調し、その魅力を打ち出すキャンペーンを展開する。
ターゲット顧客を特定したら、その顧客に最も効果的なアプローチ方法を考えていく。これには、適切なコミュニケーションツールの選定、メッセージの作成、プロモーションのタイミングなども含まれる。仮に、若年層をターゲットとする場合は、SNSを活用したキャンペーンが有効である。一方、年配の顧客層には、新聞広告や地域のフリーペーパーを通じた情報発信などが適している場合もある。
ターゲット顧客の特定とアプローチを効果的に行うことが、店舗への来店者数を増やし、売上を伸ばすことにつながる。このプロセスは、一度設定すればそれで終わりとなるわけではない。定期的な見直しが必要であり、顧客のニーズや市場トレンドが変わるにつれて、ターゲットとアプローチ方法も進化させていきたい。
広告とプロモーションの最適化
広告とプロモーションは、来店者数を増加させるための重要な手段である。まず、ターゲット顧客がどこで情報を得ているのかを理解することが重要だ。例えば、都市部で働くビジネスパーソンが主要ターゲットであれば、通勤時間帯に目に入る駅のデジタルサイネージやオンライン広告が効果的である。一方、家族連れをターゲットとする場合は、週末に家族で見られる地域密着型のフリーペーパーでの広告が有効である。
必要に応じてクーポンや限定メニューなどの施策をターゲット顧客に合わせてカスタマイズしていくとよい。新規顧客を引きつけるには、初回限定の割引キャンペーンや友人紹介プログラムが有効だ。一方、既存顧客のリピートを促すためには、ポイントカードやメンバー限定の特典などを優先する方が、経験上成功につながることが多い。
また、プロモーションではタイミングも重要である。季節ごとのイベントや祝日、特定の時間帯に合わせたプロモーションを展開することで、効果を最大化できる。例えば、クリスマスやバレンタインデーなどのシーズンに合わせたプロモーション展開は、顧客の購買意欲を高める機会となる。また、ランチタイムの来店を促すために、時間限定の特別メニューを提供するなども施策の一つだと言える。
広告とプロモーションの効果を測定し、常に最適化を行っていきたい。例えば、特定の広告キャンペーンが新規顧客獲得にどの程度成功したかを測定するには、広告前後の来店者数を比較し、実際に来店した顧客がその広告を見たかどうかを確認する必要がある。
来店者数、クーポン利用率、キャンペーン期間中の売上高、新規顧客とリピーターの割合など、複数の指標をもとにデータを収集し、分析を行うが、同時にPOSシステムのデータやオンライン予約システム、SNSのインサイトデータなども活用し、包括的な分析を行いたい。例えば、SNSでの反響が高かったプロモーションが来店者数増加にどの程度寄与したかを調べ、次回の戦略に反映させることができる。目標に達していない場合は、その原因を分析し、次回の施策にどう反映させるかを検討する。メッセージの伝え方、タイミング、ターゲットの設定に問題があった可能性がある。
図1 来店者数拡大のための広報戦略
ターゲット顧客の特定
デモグラフィック情報
-
年齢、性別、所得、職業
(例:ビジネスパーソン➡昼食時間に集中したプロモーション)
サイコグラフィック情報 -
趣味、関心、価値観、ライフスタイル
(例:健康志向➡低カロリー、オーガニックメニュー)
アプローチ方法の選定
コミュニケーションツール
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