2016年4月にオープンした「HOTEL SHE, KYOTO(ホテルシー京都)」は、海外のゲストハウスのようなオープンな雰囲気を取り入れた新しいソーシャルホテルだ。仕掛け人は21歳のホテルプロデューサー龍崎翔子氏。常識にとわられない独自の顧客接点のあり方を追求しているという。
コミュニケーションを生む 新しいソーシャルなホテルを
米大手旅行雑誌『トラベル+レジャー』が毎年夏に発表する読者投票ランキング「World's Best Awards」で2014年、2015年と2年連続で世界1位に選ばれ、海外からの旅行客が多く訪れる古都・京都。そんな観光需要をねらって2016年4月に開業したのが、「HOTEL SHE, KYOTO」だ。
「Satisfactory(心ゆく)」「Heartfelt(心暖まる)」「Emotional(心に残る)」の頭文字をとった「SHE,」をキーワードに、「ゲストとスタッフ、京都を旅するゲスト同士の化学反応によって旅を素敵なものにするソーシャルホテルを目指している」という。
「HOTEL SHE, KYOTO」は、京都駅八条東口から徒歩約8分、京都地下鉄烏丸線「九条駅」4番出口から徒歩約1分というアクセスで、客室数は34。京都では比較的小さなホテルだが、特筆すべきはゲスト同士がふれあう場として、ロビー兼ラウンジが充実していること。
共用のシステムキッチンを配し、調理器具やカトラリー類も自在にシェアできる。ゲストは街で食材を購入して料理を作るもよし、夜はお酒を楽しむもよし。ロビー・ラウンジ中央にはあえてビッグテーブルを配し、自然に会話が生まれるよう、できるだけフランクな雰囲気を創出した、というのがホテル側のねらいだ。
同ホテルのプロデューサー・取締役を務める龍崎翔子氏は、ホテルの空間デザインについてこう話す。
「ロビー・ラウンジにキッチンを配したのは、キッチンをゲスト同士の接点をつくるファクターだと捉えているからです。一般的に人は、自分と共通するライフスタイルやコミュニティーの人とばかり交流しがちだと思うのですが、ホテルは国や年代、文化、宗教など異なる価値観を持つ人が自然に集まってくる社交の場です。そうしたゲスト同士がふれあい、食事をする共有の場をホテルが意図的につくれたら、旅はもっと素晴らしいものになるのでは、と考えました ...