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日本は「もったいない」大国か 「 食品ロス」問題を考える

井出留美(office 3.11)

毎年「ヒット商品」が次々と生まれて脚光を浴びる一方、その陰には売れ残ってしまった結果、廃棄される商品も数多く存在している。なかでも期限がある食品の状況は、"食品業界の闇"とも言えるほど悲惨だ。国内での年間の食品廃棄量は、食料消費全体の3割にあたる約2800万トン。そのうち売れ残りや期限切れの食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの「食品ロス」は、年間約621万トンとされている。

これは東京都民が一年間に食べる量と同じ数字であり、世界の食料援助量(320万トン)の2倍に相当する。日本人1人当たりお茶碗1杯分(約134g)のご飯を毎日ゴミとして捨てていることになる※。こうした現実に、食品業界の現場担当者たちはどのように向き合うべきか。「食品ロス」問題の啓発活動に取り組む井出留美氏に聞いた。

※政府広報オンラインhttp://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.html

「捨てたほうが安上がりだ」と言う店舗関係者もいる

─本来食べられるはずの食品が廃棄されてしまう「食品ロス」は、昨今大きな問題とされています。今後、「食品ロス」の問題についての理解が深まるほど、企業にとってはマイナス要因にもなりえます。逆に言えば、「食品ロス」を改善することが、プロモーションになるというアプローチも考えられるのでしょうか。

売り残しを出さないよう、たとえばスーパーなら閉店間際に、割引シールを貼って売ることがありますよね。あるいは賞味期限が近い商品をワゴンにまとめて売ることもあります。ただスーパーに勤める方に聞くと、「売り切ろうとするコストは決して安くない」と言います。

なぜなら、そもそも値下げをしているわけで、利益は減ってしまうからです。割引シール自体のコストもかかりますし、シールを貼る人件費もかかる。だから「むしろ捨てたほうが安上がりだ」と言う店舗関係者もいるんです。

利益のために廃棄する食品が出ても仕方ないとするか、もしくは少しでも「食品ロス」を減らすことを目的に「ムダにせず売り切っています」とするか。後者であれば、店舗の姿勢として「社会に良いことをしている」という打ち出し方をすることもでき、それが結果的には中長期的なプロモーションにつながるのではないでしょうか。

店頭でのプロモーションには直接つながらなくても、「食品ロス」問題に対して取り組めることは多くあります。いま実際に進んでいるのが、「賞味期限の延長」です。日持ちしない食品に表示される、食べても安全な期限を指す消費期限と違い、賞味期限は「おいしく食べられる期限」です。賞味期限は、本来おいしく食べられる期限より短めに設定されることが多く、それによって商品が早期に流通させられなくなってしまうことから、賞味期限を延長しようという動きがあるんです。

具体的には、メーカー側で「できるだけ酸素に触れないような容器にして、さらに賞味期限を延ばす」といった包装材料・食品のパッケージを改良したり、「原材料中の酸素を取り除く」といったように製造方法を変えることで賞味期限を延ばす工夫もなされています。

店頭の棚を確保するために優先される新商品の量産

それと並行して、賞味期限の「年月日表示」を「年月表示」にすることも重要な取り組みと言えます。たとえば、ペットボトルのキャップの部分に賞味期限の日付が入っているのですが、「6月5日」と書いてあると、メーカーにとってはその日を過ぎてしまうとゴミ同然になってしまう。

法律では、3カ月以上の賞味期間があるものは、日付を省略できます。実際には、半端な日付は切り捨てになるので、現状で「6月5日」表示のものは「5月」と表示されることになります。したがって、メーカーの自助努力として「賞味期限そのものを延ばしつつ、年月表示をする」ことはできるんです。

それから、販売するアイテム数を絞る、あるいは1アイテムあたりの製造量を絞ること。昨今は商品サイクルが短くなっていますが、サイクルの回転が遅いものは、どうしても在庫が溜まってロスになりやすい。ただここには構造的な問題があって、アイテム数を絞るのはメーカーにとっては厳しいという現実もあります。たとえばコンビニは狭い店舗面積で売り上げを立てる必要があるので、1週間に一定以上の商品数を売らないと定番品から落とされてしまいます。そうすると、必然的に回転率が低い商品は置いてもらえません。

メーカーからすれば、棚を確保するための競合企業との戦いもあるし、最近はコンビニのプライベートブランドが拡大しているので、棚を巡る競争は熾烈を極めています。棚を常時確保するには、新商品の量産が最優先事項になってしまっているんです。

フードバンクに在籍をしていたときも、コンビニ限定で販売されている菓子や飲料などの寄付が目立ちました。以前出演した「食品ロス」問題をテーマにしたテレビ番組では、コンビニの元オーナーの方が登場して「捨てる前提で商品を仕入れていた」と語っていました。

スーパーやコンビニのバイヤー、そして消費者は、常に新しい商品を求めてしまいがちです。しかし現実問題として、メーカーも常にゼロから新たな商品を開発するのは不可能です。そこで登場するのが、いわゆる「改訂品」です。容器のデザインだったり、フレーバーだったりを少しだけ変え、新たな要素を加えた"新商品的"とも言える商品を売り出す。こうした「改訂品」が登場すると、それまで流通していたものは「旧品」となって流通できなくなります。それがまたロスになるんです。

「食品ロス」が深刻な状況にあることを踏まえると、アイテム数や製造数を見直すことも考えないといけない。そう感じている関係者も多いのではないでしょうか。

海外では、家庭にある不要な食品の寄付を消費者から受け付け、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する「フードバンク」の取り組みも盛んだ。背景には、店舗と消費者の間で環境などに対する問題意識が共有されていることも大きい。

食品を廃棄するメーカーには大きなコスト負担がのしかかる

─「食品ロス」の問題について、食品業界の現場の人々は、どのような問題意識を持っているのでしょうか ...

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