2017年4月にオープンした銀座エリア最大の複合商業施設「GINZA SIX(ギンザ シックス)」が盛況だ。来館者数はオープンから1カ月を経たずして150万人を突破、1日平均約8万5000人と、初年度来館者目標2000万人を上回るペースで推移している。同施設を運営するGINZA SIXリテールマネジメントのプロモーション担当の横山貴史氏に、来店客を魅了する演出について聞いた。

開店前には2500人の行列も銀座の活気づけにも寄与
─オープン当初の反響はいかがでしたか。
初日の開店前に約2500人の待機列ができるなど、十分な手応えがありました。もともとGINZA SIXには、東京・銀座の価値をさらに上げていきたいという考えがあり、プロモーションでもそのコンセプトを体現するものにしたいと考えていました。
オープニングプロモーションCMとして制作した、椎名林檎さんとトータス松本さんを起用した「GINZA SIXスペシャルムービー」のインパクトが大きかったですが、内容はGINZASIXの紹介に終始せず、銀座という街全体の魅力を伝えています。そのため、街の皆さんからも「もはやGINZASIXのプロモーションではなく銀座のプロモーション。こんなに賑わった銀座を見るのは久しぶりです」といった声をいただき、とても好評です。
数字上の反響も大きく、スペシャルムービー「メインストリート」編の動画再生回数は316万回(6月21日時点。YouTube上のGINZA SIX配信分とオリコン配信分を合計)、GINZASIX公式Webサイトはオープン当初1日で約160万ページビューを超えました。さらにGINZA SIX オープニングテーマソング「目抜き通り」はiTunesランキング第1位(4月21日時点)を記録しています。
作詞・作曲を手がけた椎名林檎さんは、東京に思い入れのあるアーティストでもあり、ストレートに銀座をイメージしていただきました。トータス松本さんの起用は、椎名さん側からいただいた「デュエットにしたい」という提案がきっかけです。その時は正直なところ、「銀座という街柄、デュエットにすることで、一昔前のディープな大人の印象が強くなってしまうのではないか」と懸念し、悩みました。
しかし「昔からあるデュエットの魅力をいまらしく表現したい」という強い意志を信じてお任せしたら、椎名林檎さんとトータス松本さんが、みごとに新しく生まれ変わる銀座を表現してくださり、オープニングに相応しい華やかさと新しさが詰まったムービーに仕上がりました。
オープン後は、「銀座のお祭りが例年より賑わっていた」という声が挙がるなど、街全体の活気づけにも寄与できているのではないかと感じています。今後は、銀座の街の活動にも積極的に参加していきたいと考えています。
現代アートを身近に体験できるフォトジェニックな空間を意識
─数々のアート作品もGINZA SIXならではの特徴です。

草間彌生《南瓜》
(c)YAYOI KUSAMA
GINZA SIXの中央部にあたる吹き抜け空間に吊り下げられた草間彌生さんのオブジェは、館内で絶大な存在感を発揮
吹き抜け空間に吊り下げられた前衛芸術家・草間彌生さんの新作インスタレーション「南瓜」が特に話題になりました。写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」でのGINZA SIXに関する投稿は約9万8000件を超えました(2017年6月時点)。最初にお客さまをおもてなしする吹き抜けにシャンデリアのように大胆に展示し、クリエイティブな魅力と驚きを提供しています。
GINZA SIXは、現代アートを身近に体験できるフォトジェニックな空間を意識して設計されています。成熟した東京に新しい豊かさを届ける施設として、多彩なアーティストとコラボレーションしており、複数展示しているパブリックアートもそのひとつです。
各所にパブリックアートを常設展示していますが、ただ並べているだけではありません。大型施設はすべての店舗に足を運んでいただけるよう、お客さまの回遊性を高めるのが大きな課題です ...