楽天グループのクリエイティブ組織クリエイティブデザイン戦略部(CRD)に所属する「楽天デザインラボ」は楽天モバイル初のオリジナルスマートフォン「Rakuten Mini」で2021年度のグッドデザイン賞を受賞した。CRDには約50人のクリエイターが在籍。グループの進化をデザインで支え、新たな価値を生み出している。

デザインラボ、CRDのメンバー。河上洋樹さん(中央)、大山達也さん(右端)。
アワード実績や実験的な企画も多数
クリエイティブデザイン戦略部(CRD)は、楽天グループ横断のクリエイティブ専門組織として位置付けられ、業務領域はプロダクトやサービスのUI/UX、ブランドロゴ、カラーなどのアセット、コミュニケーション戦略など多様だ。実制作に加えグループ横断での品質向上を目的としたガイドライン策定、ガバナンスも担う。
デザイナーやプランナー、ディレクターら約50人が在籍し、同部プランナー大山達也さんはその役割を「各事業に所属するデザイナーは当該事業の目標を追っている。一方、CRDは各事業へのツールやスキルでの支援、グループとしての統一感といったクオリティコントロール、グループ全体のクリエイティブ制作を担っています」と説明する。
CRDには、グループのチーフクリエイティブディレクターを18年にわたり務める佐藤可士和さんの提案から生まれた「楽天デザインラボ」も属する。デザインの力で楽天のビジネスをよりパワフルにしていくデザイン組織として2018年4月に誕生し、翌年からCRDに組み入れられた。「当初はロゴやアイコンといったブランドアセットの制作に注力していましたが、近年は業務範囲が広がり実験的なクリエイティブも増え、今後はそれらの活動をさらに加速させていけたら」と、ラボのマネージャーを務める河上洋樹さん。
既に手がけた仕事の数々が国内外で評価されている。中でも楽天モバイルとの協業から生まれたスマートフォン「Rakuten Mini」は、「2021年度グッドデザイン賞」を受賞。「Red Dot Award」にも入賞したほか、「Rakuten Font」も「iF Design Award」で入賞を果たした。
実験的な取り組みとしては、2021年2月から国立新美術館で開催された「佐藤可士和展」でのインスタレーション「楽天[UNLIMITED SPACE]」がある。また、ヴィッセル神戸の本拠地「ノエビアスタジアム神戸」での5Gを活用した観戦体験創出に向けた実証実験では、ARのビジュアルデザインやUI/UX監修も担当している。
楽天グループではグローバルで70以上のサービスを提供し、約16億のユーザーを擁する。Eコマースを中心に通信キャリア、金融、旅行と多様な事業を展開する中、CRDは「全社クリエイティブ品質の継続的な向上・進化による、ブランド&ビジネス価値の最大化」をミッションに掲げる。
「各事業部は個性もさまざまである一方、他事業の様子を深く把握できていないこともある。今後は私たちもプランニングなど含め手がける領域を広げていければ」と大山さん。“楽天グループの進化をデザインで支える”という、横断組織としての役目を語る。一方、楽天デザインラボのミッションについて、河上さんは「楽天と人々や社会をクリエイティブとデザインでつなぐこと」と語る。デザインでのブランド価値向上に向け、日々試行錯誤を繰り返している。

2021年度グッドデザイン賞を受賞した「Rakuten Mini」。

5Gを活用した新しい観戦体験の創出に向けたヴィッセル神戸の実証実験。

佐藤可士和展でのインスタレーション展示「UNLIMITED SPACE」も楽天デザインラボが制作に関わった。

CRDが開発したデザインシステム「ReX」。楽天の各サービスでユーザビリティ・UXを担保し効率よく制作することを可能にする。

デザインラボをはじめとしたCRDのプロジェクトや制作事例、紹介記事などをまとめたWebサイト「Rakuten Design」。
クリエイティブ関連職で人材募集中
楽天デザインラボには約10人、CRD全体ではプランナーやUXデザイナーなど含め50人ほどが在籍。広告会社や制作会社でのデザイン経験者や美大・芸大出身者、海外のアートスクールで学んだ経験を持つ人、戦略コンサルタントからの転身者などが活躍する。その理由について、河上さんは「広告会社や制作会社ではクライアントの多さ故にひとつのブランドやサービスに注力できない。その煮え切らない思いを抱え、ひとつの事業に全力を注げる点に魅力を感じ入社する人材が多い」と語る。
同グループで働く魅力について、大山さんは「ユーザーと楽天の接点は多様で、クリエイティブの力で顧客体験を向上する余地はたくさんある。その中で課題設定し解決に取り組めることは、楽天のクリエイティブ組織ならでは」と話す。
河上さんも、「規模が大きく社会への影響力もあり、自分でつくったクリエイティブが世の中にどのように広まったかすぐにわかるところが醍醐味」と続ける。現在もクリエイティブに関するあらゆる職種で人材を募集している。次々と新たな事業を生み出すダイナミックさも魅力で、大山さんは「変化を楽しみ、新しいテーマに主体的に取り組める人にとって楽しめる環境」とも口にした。
楽天グループは2022年、創業25周年という節目を迎える。「アワードへの入賞実績や新たなエリアでの施策をより増やしていきたいです。キーワードとしては“挑戦”を掲げたい」とは河上さんの抱負。大山さんも「常に新しいことを社会に投げかけ続ける楽天で、そのクリエイティブやコミュニケーションはどうあるべきか。CRDとしてはその品質を高めることと、ガバナンスで守ること、両面でしっかり支えていきたい」と、意気込みを語った。

お問い合わせ
楽天グループ株式会社 クリエイティブデザイン戦略部
URL:https://www.rakuten.design/
メールアドレス:cmo-creative@mail.rakuten.com