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新しい共感を生む創訳(トランスクリエーション)がもたらす価値

morph transcreation

morph transcreationは2018年に設立された、東京・ロンドン・ニューヨークを拠点とする「多言語」に特化したコンサルティングファームだ。「トランスクリエーション®(創訳®)」を提供し、あらゆるブランドの価値を高める役割を果たしている。

(左から)morph transcreation 共同創業者・共同CEO キーラン・ホランドさん(ロンドン)、共同創業者・共同CEO 小塚泰彦さん(東京)、ディレクター 石角昌義さん(ニューヨーク)。

共感を高める「トランスクリエーション」

東京・ロンドン・ニューヨークに拠点を置くmorph transcreationは、博報堂出身の小塚泰彦さんと文化戦略エージェンシー Flamingo出身のキーラン・ホランドさんが代表を務める「トランスクリエーション(創訳)」に特化した世界的にも珍しい企業だ。多言語で戦略的なメッセージを設計している。日・英・中・韓などの言語に対応し、世界トップの複数のグローバル企業でトランスクリエーションを行ってきた。

小塚さんによると、トランスクリエーションとは「新しい共感をつくる技法」であり、「これまで価値がないと思われてきたものや価値を見出すのが困難なものなど、それらの意味を再解釈して新しい命を吹き込む力」のこと。いわゆる一般的な翻訳は“正しく”訳すことに重きを置くが、正しい翻訳がビジネスの目的に適っているとは限らない。

「夏目漱石が“I love you”を“月が綺麗ですね”と訳したように、正しい翻訳が必ずしも正解ではない。国や地域によって異なる文化や社会の構造を踏まえて、より共感が高まる表現を創造するのがトランスクリエーションの役割。特に企業のメッセージでは、“新しい共感”が一段と重要に。トランスクリエーションは企業のブランディング効果を高め、これからの経営戦略の根幹を成すものでもあるのです」。

小塚さんがトランスクリエーションという概念に出会ったのは、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国王立芸術大学院)のイノベーション・デザイン・エンジニアリング学科に入学してから。物事の価値を再解釈してイノベーションの軸を生み出すことができるトランスクリエーションの可能性に惹かれ起業した。

未来の日本を構想するための日本語を

最近ではミツカングループ「ZENB」のネーミング、参天製薬の企業ブランディングで日英中の企業スローガンなどを手がけた。また京都の老舗京湯葉専門店「千丸屋」における湯葉のコンセプトの再定義、岩手県・宮城県のPR映像などにも携わっている。

こういった明確なアウトプットがあるプロジェクトだけでなく、社内向けのコンサルティングに関わるケースも多い。直近では、米国に本社を置く大手IT企業の社内向けプロジェクトに関わり、本国から各地域に戦略のローカライズをする際に重要な論点を分析し整理するなど、コンサルティングを実施した。

「たとえば近年、ダイバーシティ&インクルージョンへの対応を表明する企業が増えていますが、これらの言葉の定義を明確にして社内で共有・理解している企業は意外と少ないと思います。それらの解釈は社会によって微妙に異なるので、自国における意味を理解していなければ、ダイバーシティ&インクルージョンを活用した経営もマーケティングも機能しません。そこで、特に日本ではわかりづらい“インクルージョン”という言葉の解釈を日本の社会に即して整理。日本向けには『インクルージョン=互寛容』というトランスクリエーションを提案し、『お互いさま』の文化がある日本におけるインクルージョンと、人種の違いなど明らかな多様性を前提とする米国におけるインクルージョンの差異を社内共有できるように図式化していったんです。他にも『ソートリーダーシップ』など、何気なく使っているのにその解釈が統一されていないビジネス用語も同様にトランスクリエーションしました」。

小塚さんは2021年にはトランスクリエーションの可能性を広げるためのオンラインメディア「トランスクリエーションラボ」を立ち上げたほか、11月には東京都内にある主要な駅名のトランスクリエーションを英語で発信する「駅訳®」を開設。2018年から進めてきたプロジェクトで、国際文化交流の一環として企業や自治体などとのコラボレーションの機会を探っている。

このほか電通とワイデン+ケネディを経てAppleで長年クリエイティブディレクターとして活躍した岩井俊介氏(ShunTokyo)がmorph transcreationのエグゼクティブ・トランスクリエイターに就任するなど、その勢いを加速させている。

「日本では現在でも明治時代につくられた多くの近代的な日本語が使われていますが、明治維新から150年以上経った今、未来の日本を構想するための“未来の日本語”を新たに考案するべき時に来ていると考えています。トランスクリエーションの裾野を広げ、創造的翻訳を探求していきます」。

11月に自社からリリースした「駅訳」。

創造的翻訳を探求する自社サイト「トランスクリエーションラボ」。

ミツカングループ「ZENB」のネーミングなど。

サントリーのグローバルコミュニケーション「SuntoryTime」(制作会社:ONE PLANET)。

1804年創業の老舗京湯葉専門店「千丸屋」の仕事では、湯葉を「Golden Leaves」と創訳するなど再定義のプロジェクトを実施。

参天製薬 コーポレートブランディング。

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