東京アドデザイナースは近年、iメディア制作室を中心にグラフィックデザインと連動しWebサイト制作・運用や動画など制作領域が確実に拡大している。
デジタル×グラフィックの提案力
1961年創業の東京アドデザイナースは総合広告制作プロダクションとして、グラフィックデザインやWebサイト設計・デザイン、スチール・ムービー撮影からイラスト制作まで、クリエイティブをワンストップで提供できるのが強み。近年は広告会社からの仕事に加えて、企業との直取引も増えている。グラフィックデザイナー、コピーライター、Webクリエイター、イラストレーター、カメラマン、画像クリエイターといった約150人のクリエイターが、幅広い領域のクリエイティブを手がけている。
コロナ禍では、デジタルシフトが加速。代表取締役社長の篠原茂樹さんは「一昨年からデジタルとグラフィックの一体化した仕事や動画の受注が増加しています」と実感を語る。同社では、20年以上前からデジタル制作にも対応してきた。「グラフィックのイメージが強く、デジタル制作をPRしきれていないのが悩み」(篠原社長)というが、現在、デジタル制作は「iメディア制作室」として、WebプロデューサーやWebディレクター、Webデザイナー、クリエイティブディレクターら20人ほどが在籍。他部門と連携し、同社の強みとするグラフィックとデジタルの融合にこれまで以上に取り組んでいる。
直近では、2021年の受験生が対象の東京理科大学のプロモーション施策「スゴイミライミッケ!」で、iメディア制作室と第二制作室が一体化して制作。潜在受験生を視野に入れた理科の啓蒙活動施策を企画し、社内のデジタルリソースを活用し提案。ポスターなどグラフィックの制作を基軸として、Webサイトやモーショングラフィックスを用いた動画まで制作となった。オリジナルキャラクターも入社3年目のデザイナーの発案で誕生するなど、グラフィックとデジタルがうまく融合した成功例となった。
取締役と第二制作室室長を兼任する小林史朋さんも、「デジタルスキルと長年グラフィックで培った広告コミュニケーション力という当社の強みが上手く融合できた事例。部署を超えてクリエイティブを掛け合わせることで、提案力も増していく。また、グラフィックのクリエイターも合わせて、会社全体でのデジタルスキルを向上する必要がある。たとえばグラフィックのデザインを手がけた『東京卍リベンジャーズ』(講談社)のキャンペーンは圧倒的な展開力で話題になったが、この当社のデザイン力をもっとデジタル領域で活かしていきたい」と語る。
このほかキャラクターの開発を手がけ、10年以上継続しているリクルート「SUUMO」ブランドもデジタルサイネージや車内動画の制作が広がっており、デジタルとグラフィックの融合は確実に拡大している。
会社の未来をつくる人材マネジメント
同社には、多種多様なスキルを持つクリエイターが在籍している。その強みを最大化させるため、社員の知見を社内全体で共有できる取り組みにも注力。アウトプットにとどまらず、インプットでも部署を超えた融合を図っている。
「たとえばクリエイティブディレクターが講師となる社内研修を行い、プレゼンなどのノウハウを社員で共有。若手からベテランまでがクリエイティブディレクターのノウハウを吸収でき、提案力や企画力の底上げにもつながります。デジタル制作や動画制作なども部署を超えた社内研修が増えており、今後も積極的に行っていきたい」。そう語るのは、取締役を務めるとともに、アートディレクターとして現場に立つ五十嵐厚也さん。社員同士が互いに教え合う機会が、社内の活性化につながっている。
「近い将来、グラフィック制作とデジタル制作の境界線もなくなり、職種問わず領域を横断したクリエイティブスキルが必要になる」と篠原社長。クリエイターの成長が社益に直結するだけに、デジタルの知見を持つグラフィックデザイナーや、グラフィックの知見を持つデジタル人材など、人材の成長を積極的にマネジメントしている。今後は、マルチスキルを備えた社員が揃うことを目標に掲げている。
「今、クリエイティブを取り巻く環境の変化が加速していますが、その変化に対応することで企業力はますます強くなっていく。2022年は社内で新しい動きをつくりながらクリエイティブを活性化していきたい」(篠原社長)と話し、さらなる進化に向けてアクションを起こしていく。
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株式会社東京アドデザイナース
URL:http://www.tokyoad.co.jp/