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60周年で新VI シンフォニーのように共創から体験価値を生む

東急エージェンシー

東急エージェンシーは2021年3月、創業60周年を迎えた。日比谷へと本社屋を移転したほか、新たなパーパス、ビジョン、バリューをもとに制作したVIを発表した。

60周年を機に発表したVI。

「SYMPHONIZED SPARK」の意味

東急エージェンシーは2021年3月に創業60周年を迎えるにあたり、2019年末から本社オフィス移転プロジェクトを立ち上げた。コロナ禍を経て、2021年11月1日にはパーパス、ビジョン、バリューを新たに発表。新本社オフィスとなる日比谷フォートタワー(港区西新橋)での業務を開始した。1970年から赤坂に拠点を構えていたため実に50年以上ぶりの移転であり、同社にとって最大の節目となった形だ。

60周年と同時に発表したのが、新たなVIと「SYMPHONIZED VALUE CREATION. 響き合うチカラで、新たな価値を。」というスローガン。今回、策定したパーパス(人と社会の希望を彩り、前進するチカラをもたらす。)、ビジョン(お客さまの事業成長のために並走する、体験価値共創企業へ。)、4つのバリュー(洞察力・創造力・協働力・実現力)に基づき、社内でクリエイティブユニットマネジメント局 局長の髙橋宏之さんを中心にVI制作のプロジェクトは進められた。

コロナ禍でのプロジェクト進行にあたり、髙橋さんは社員にリモートでインタビューを実施。次世代を担う20~30代を中心に、ベテランも含めて数十人に仕事のやりがいや目的などについて話を聞いた。「その中で改めて確信したのが、広告とは絶対的にポジティブな考えのもと答えを出す仕事だということ。価値観も業務内容も異なる誰もが、社会や人々に対して何らかの希望を与えたいというエネルギーに満ちていたんです。コロナ禍で社会がさまざまな問いを抱え、答えを見出すのが難しい時代だからこそ、多様な才能や個性が集まり、社内がひとつになれるシンボルが必要だと実感しました」。

完成したVIの根幹を成すのが、色とりどりの花火が広がる「SYMPHONIZED SPARK」。「クライアントの課題や社会環境が複雑化する中で、一人ひとりの彩色豊かな個性がシンフォニーのように響き合い、新たなスパークが生み出されていくさまをシンボル化しました」(髙橋さん)。その中心部には、東急エージェンシーのコーポレートカラーである水色が。一人ひとりのチカラが重なり合い、放射状にアイデアやクリエイティビティが広がっていくイメージを切り取った。既に封筒や紙袋、名刺といったコーポレートツールはもちろん、Webサイトなどにも導入されている。

11月1日にはオフライン・オンライン併用の形で全社員が一斉に集まるキックオフのイベントを実施し、新たなビジョン、パーパス、バリュー、そしてVIがお披露目となった。髙橋さんがVIに関するプレゼンテーションを実施したところさまざまな期待の反響があり、若手社員からは「このVIの先にどんな世界を描いているのか」といった鋭い質問が飛び出す場面もあったほど。

「社会や働き方が大きく変わる中で、60周年を節目にオフィスが変わり、VIが変わった。当社史上最大ともいえる、変革期を迎えています。プロジェクトメンバーとしては過去の資産や当社の強みを改めて認識する機会になり、VIにその思いを込めることができたのではと考えています」。

3フロアに集約し「TBW」を重視

移転により、オフィス空間も一新。全体コンセプトを「City-Verse(仮想都市)」とし、“東急エージェンシーが生み出す体験価値にあふれた、誰も見たことのない仮想都市”を目指している。

以前は2ビル・16フロアに分かれていたが3フロアに集約されたことで、社員間の新たなコミュニケーションが生まれている。また旧オフィスは、コミュニティ空間やチームがオープンに集えるスペースが著しく狭く、コラボレーションやチームワークに課題があった。その解決に向けて重視したのが、仕事の内容や状況によって一人ひとりが主体性を持って働く場所を自由に選ぶ「ABW(Activity Based Working)」と、チームの一体感を高めて働く「TBW(Team Based Working)」という考え方だ。

「ABW」は近年、オフィス環境のトレンドとなっているが、チームで共創していく機能の実装を重視した「TBW」は広告会社ならではのポイントだといえるだろう。

執務エリアは原則フリーアドレスで、各フロアにはそれぞれテーマがある。コンセプトの「City-Verse(仮想都市)」のもと、19階「DISTRICT」は、自社のブランドを表現しつつ、ゲストとともに価値を創造するフロアとしてビジネス、生活といった都市の顔つきを持たせた。18階「STREET」は人が集いさまざまなカルチャーが交わるフロアとし、ひらめきをビッグアイデアに昇華させ、イノベーションの起爆剤となる場。17階「CHAOS」は、多様な個々人が自由に活動する場で、街の個々の建物などのさまざまな色や形によって多様性を表現する。

東急エージェンシーは1961年の創業時、初代社長の五島昇が「東急グループの触角たれ」という言葉を残している。髙橋さんは「今回のプロジェクトで、これまでの歴史とこれからの未来を結んでいくストーリーを設計し、人々の暮らしや街づくり、生活を彩る文化といった、生活者のあらゆる体験価値を創造し続ける私たちのDNAそのものは変わっていないと改めて感じることができた」と振り返る。今回定めたスローガンが示す通り、シンフォニーのように共創を通じてさらなる体験価値を生む会社として、進化を続けていく意向だ。

新オフィスから。17階では、個人で作業する執務席のほかタッチダウンで交流を促す。テーマは「CHAOS」。

チームで集い、コ・クリエイションする18階のテーマは「STREET」。共有スペースも充実。

18階には知の共有“ナレッジライブラリ”も。

ゲストとともに新しいビジネスの芽を見つけることができる19階「DISTRICT」。東急エージェンシーブランドを発信する。エントランスには180インチ×3面の大型スクリーンも。

オフィスデザイン:Gensler
オフィス撮影:ナカサアンドパートナーズ

東急エージェンシー
クリエイティブユニットマネジメント局
局長
髙橋宏之さん

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