2月22日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、東京・多摩センターにあるサンリオピューロランド(以下 ピューロランド)は臨時休館に入った。それから1ヶ月後に公式YouTubeで、2本の動画が公開された。
今できることをそのまま映像に
「まだ政府からの指示はありませんでしたが、お客さま、そして従業員の安全第一を考え、決断しました。正直なところ苦しい決断でした」と話すのは、サンリオピューロランド執行役員 伊藤大作さん。早くに休館を決めたこともあり、休館中の施策としてサンリオキャラクターが登場するコンテンツを発信するべく準備を進めていた時、「クリエイティブディレクター 佐々木宏さんから連絡がありました」。
佐々木さん、トレードマーク プロデューサー 俊成和作さん、アートディレクター 浜辺明弘さんは、ピューロランドを運営しているサンリオエンターテイメント 代表取締役 小巻亜矢社長と以前に話をする機会があったという。「ピューロランドがいち早く休館に入ったと知り、こんな時こそ僕らは傍観するのではなく、何かお役に立てればと思いました。そこで、ピューロランドの皆さんに休館中のピューロランドをドキュメントすることを、勝手に提案させていただいたんです」(佐々木さん)。
そして制作されたのが、「ピューロランド、休んでたって…」と題された2本の動画である。スタッフ篇は、雨降るピューロランドから始まる。誰もいないピューロランドだが、その中にはアトラクションの電球を変える人、新しいメニューを開発する人、掃除をする人、椅子をメンテナンスする人など、普段は見ることがないピューロランドで働く人たちの姿が映し出される。
虹篇は、ハローキティが「みんなどうしてるかな」とつぶやき、舞台上で『オズの魔法使い』の本を読み始める。すると、他のキャラクターたちも集まってくる。キャラクターたちの何気ない日常の光景が映し出された後に出る最後のメッセージは、「虹は、みんなの上に」。いずれも普段見ることがないピューロランドのバックヤードを中心に撮影している。
「当初は3つの企画があり、最終的に2本の動画にまとまりましたが、最初から佐々木さんがこだわったのはリアルなピューロランド。私たちが考えると、どうしてもキャラクターを中心に置いてしまいますが、それでは普通の広告と変わらない。とにかく自然な姿を撮りたいというお話がありました」(伊藤さん) …