おしゃれな家具が置かれた部屋。何の変哲もない空間かと思いきや、実はネコサイズの「ネコ家具」だったことが後から明かされる。福岡県の大川市が地元産の家具アピールのために公開した動画が、国内外で話題を呼んでいる。


テレビCM「ネコ家具【ネコベッド】」篇。テレビCMは福岡市内で放映。
産地ブランディング4年目の新展開
福岡県の大川市は、150以上の家具関係工房があり、480年にもわたる日本有数の家具産地である。かつては、桐箪笥などの婚礼家具を中心に一大産業として栄えたが、近年では国内外の格安家具の台頭などで生産量が減少し、市全体も活気を失っていた。
そんな中、市では2014年からブランディングプロジェクト「職人MADE大川家具」をスタートした。新たなブランドロゴを作り、大川家具の中でも特に上質でデザイン性にも優れた家具および家具職人をセレクトしてターゲットに伝えていくプロジェクトである。この取り組みは市内外に徐々に浸透し、ブランドロゴの利用も拡大するなど一定の成果を見せてはいたが、4年目を迎えるにあたり、さらなる施策が求められていた。
同プロジェクトの企画を行ってきた三広クリエイティブディレクターの梶野肇裕さんは、「プロジェクトは広がっていましたが、大川家具がどんなものかわかりづらいという課題がありました。4年目の施策は、大川家具の具体的なイメージを作ること、そしてもっと全国の方に大川家具を知ってもらうことを目標に置きました」と話す。
こうして生まれたのが「ネコ家具」動画だ。「大川家具そのものでニュースを作ることが必要だと考えました。大川家具には、決まったスタイルなどの特徴が実はありません。しかし、腕の立つ職人による精度の高いものづくりは大川家具が誇るものです。そこで、『大川家具は誰の要求にも、どんな要求にも応えることができる』をコンセプトに動画の企画を考えました」 …