DXという言葉が新しいものではなくなった昨今。単なるツールのデジタル化だけではなく、お客さまにとって価値がある「顧客視点のDX」を推進することが重要になっている。
その実現のためには全社的なマーケティング思考の浸透が必要とも語られるが、マーケティング×DXの活動はどのように行うべきなのか。実際にCMOとCDOが連携して施策を進めるメガ損保の大手2社が座談会を行った。
※本記事は2022年11月18日に行われた「宣伝会議サミット2022」の講演の様子を記事化したものです。

三井住友海上火災保険
取締役 常務執行役員 兼
MS&ADインシュアランスグループ ホールディングス
執行役員 グループCDO
一本木 真史氏

三井住友海上火災保険
経営企画部 部長 CMO
CXマーケティングチーム長
木田 浩理氏

損害保険ジャパン
執行役員待遇
マーケティング部長
関口 憲義氏

損害保険ジャパン
執行役員 CDO(チーフデジタルオフィサー)
DX推進部長
村上 明子氏
何かあったときの保険ではなく現代のリスクに備える対応を
──先行き不透明な時代と言われて久しいですが、現在の損保業界が置かれている状況にはどのような特徴があるのでしょうか。
一本木:自然災害、そしてパンデミックなど、現代人の健康や金融にかかわるリスクは不確実性を増しています。保険会社はこのような様々なリスクを引き受けることを本業にしていますが、そこで必要なのは、現在における損保の存在意義を見つめ直すこと。
「何かあったときの保険」ではなく、先行き不透明な時代の社会やお客さまのリスクに対応し、期待に応え、その期待に応えた先には社会やお客さまの課題解決があるということをしっかり認識することが現在の損保業界に必要です。その意識のもとにビジネスモデルを構築していくべきだと思います。
木田:それに加えて、お客さまの価値観も多様化しています。従来はお客さまのもとに往訪して情報を提供していましたが、現在はインターネットでお客さま自身が必要な情報を取得する時代になりました。ビジネスモデルもお客さまの価値観や時代にあったものに変革していかなければならないと感じています。
村上:損害保険ジャパンでは保険だけではなく、生活の中の安心・安全・健康を守ることが目標です。当社グループには、国内損保、海外保険、介護・シニアなど多様な事業がありますが、それらの顧客データ等を連携させたリアルデータプラットフォーム構想も進めています。損害保険の強みを生かして社会課題を解決し、往々にして「そういえば損保の会社だった」とお客さまに認識されるのが理想です。
また当社では、顧客データを軸に...