緊急事態宣言を受けて、全国のアダストリアの店舗では創業以来、初の全店休業を決定。しかし、自社ECサイト「.st」では店舗スタッフによる接客が行われ、売上も伸長した。コロナ禍を受けアパレル業界は、今後どのように変化するべきか。そこでアダストリアは何を提供していくのか。アダストリアの代表取締役会長兼社長 福田三千男氏に話を聞いた。

アダストリア
代表取締役会長兼社長
福田三千男氏
1946年茨城県水戸市生まれ。1969年同志社大学商学部を卒業後、衣料メーカーを経て、1971年家業の福田屋洋服店に入社。1993年社長に就任し、ポイントに商号変更。2000年に店頭登録。2004年に東証1部上場。2015年6月アダストリアに商号変更、代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。2018年5月より現職。
アダストリア
[会社概要]グローバルワーク、ニコアンドなど、国内外で25以上のブランド、約1500店舗を展開するファッションカジュアル専門店チェーン。衣料品・雑貨などの企画・製造・販売を行う。1953年に紳士服小売店を創業、その後アパレル業界でビジネスモデルの変革を重ねてきた。
休業中はECサイトの売上1.5倍 自社スタッフがデジタルでも接客
──4月にはコロナの影響で創業以来、初めての全店休業を決断されました。休業期間中、自社ECサイト「.st」での売上が伸びたそうですね。
緊急事態宣言を受け、5月中旬ごろまで多くの店舗で休業をしました。一方で自社ECサイト「.st」では、当社が保有する28ブランドの商品を扱っていますが、売上は前年同期比150%を記録。店舗であれば普通に行うことができる店員による商品の説明やお客さまに合わせたスタイリングの提案などをすることがECではできない。実はコロナ禍以前から、接客の価値をいかにデジタル上で再現するかを考え、取り組みを進めていました。
具体的には「.st」内に「スタッフボード」というコーナーをつくり、当社の接客スタッフ約1500名が、商品やスタイリングについて発信していました。
コロナ禍では、各スタッフが動画などを積極的に配信。お客さまにとても喜んでいただけたため...