コロナ禍において、生活の様々な場面でオンラインシフトが進んだ。メディア接触やコミュニケーションの場面においても、オンライン化は進行。このような状況で人々は、どのようにメディアや情報に接触していたのだろうか。メディアとコミュニケーションの関わりについての研究を専門とする、学習院大学法学部の遠藤薫教授が解説する。
世界中が「巣ごもり」状態で急速に進んだオンライン化
最初はどこか遠くから聞こえてくる不安な噂のようでした。でも間もなく、ドラッグストアからマスクがなくなり、トイレットペーパーもなくなりました。有名な芸能人が亡くなったのも衝撃的でした。学校が突然休みになり、不要不急の外出も自粛するようにと政府が要請しました。
お正月には何事もなく新しい年を祝い、東京オリンピックもあって、観光産業を中心に、グローバル経済はますます活発化すると誰もが期待していたかと思います。それが急転直下、地球全体がパンデミック(世界的感染拡大)に巻き込まれていきました。国家間は元より地域間の交通も制限され、仕事も娯楽も急停止。日本だけでなく世界が「巣ごもり」してしまったのです。
巣ごもり生活の中で、重要性が一気に高まったのが、感染の危険がないオンラインサービスです。
私が2020年6月に行ったインターネットモニター調査でも、コロナ禍によって「コンピュータやスマホに向かう時間が増えた」と答えた人が全体の34.6%に達しています。【図表1】は、2019年3月、2019年8月、2020年6月におけるメディア利用時間の変化を示したものですが、ここでも、オンラインサービスの伸びが顕著です。特に、YouTubeや動画配信サービスが躍進しています。一方、テレビの利用時間は延びていません。これは、「3密を避ける」ためにテレビ番組制作が困難になってしまったことにも原因があるかもしれません。
仕事や学校のオンライン化も進みました。2020年6月調査によると...