立命館アジア太平洋大学(APU。大分・別府)は次世代のグローバルリーダーの育成を掲げ、学生の約半数を外国人留学生が占めるなど、その独自の教育方針から国内外で高い評価を受けてきた。学長であり、ライフネット生命保険の創業者でもある出口治明氏に、今後の大学ビジネスの在り方、さらに進展するグローバリゼーションの中で求められる人材像について話を聞いた。
卒業生や地元の人たちがコロナ禍で困窮する学生を支援
──コロナ禍でデジタルトランスフォーメーションが一気に進むなど、環境が大きく変化した業界の筆頭が大学だったのではないかと思います。学生の約半数を外国人留学生が占める立命館アジア太平洋大学(以下、APU)では、どのような取り組みを行ってきましたか。
まず、2月20日に卒業式と入学式の中止をいち早く発表しました。発表時点では大分県内の感染者は報告されていませんでしたが、APUの学生の約95%は大分県外の日本、および世界各地から集まっており、式には国内外から家族などが大勢駆け付けます。それゆえ、式の開催は感染のリスクが高まると考え、中止の決断をしました。
現在は親元に帰れず、さらにはアルバイトもできずに困窮する留学生に対する支援を重点的に行っています。別府は観光都市なので、学生のアルバイト先の多くがホテルや周辺の飲食店。コロナ禍でアルバイト収入がなくなれば、毎日の食事にも困る学生が出てきます。そこでAPUの卒業生が代表として呼び掛け、教職員や地元の人が賛同する形で、広く資金を募って食料の配布を行っているのです。
──有事の際に関係者が一致団結できるのは、組織としての求心力があってこそ、だと思います。何が求心力になっているのでしょうか。
地域の皆さんに...
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