全国39都道府県56クラブと、多くの組織を抱えているにもかかわらず、試合中止や再開に向けた意思決定の速さで注目を集めた、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)。なぜ迅速な意思決定が実現したのだろうか。その背景にはメディアを始め、外部と開かれた対話を重ねてきたコミュニケーション活動の蓄積があった。Jリーグのこれまでの対応、さらにこれからについてチェアマンの村井 満氏に話を聞いた。
スポーツ団体の対応の「モデル」に 国内外各地域の情報収集が重要
──6月27日に明治安田生命J2リーグとJ3リーグ、7月4日にJ1リーグの試合が再開しました。今の率直な気持ちをお聞かせください。
ほっとしているというのが正直な感想です。国民の皆さんも大変な状況にあるなか、外出自粛や感染防止に取り組んでいただいたおかげで、2月下旬に開幕し、第1節を終えた時点で中断していたJ1、J2については再開、J3については無事開幕することができました。
──コロナ禍でどのような対応をされたのでしょうか。
武漢で感染症が発生しているという報道が出てきた時点、1月22日の実行委員会で、全56クラブに感染症対策担当の任命を義務付けて、情報収集を進めてほしいと連絡しました。
多くのスポーツ団体があるなか、Jリーグは一足先に開幕します。対応のモデルとして注視されているので、しっかり準備していこうという思いがありました。チェアマンに就任する前の2011年からの3年間、アジアで人材ビジネスを立ち上げてきた経験があり、中国にも多くの友人がいたため、情報収集ができたことも、意思決定に際して役立ったと感じています。
国外の動向だけでなく、国内においても...
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