
4社増えるBS放送市場は今後、どう成長するのか。
BS放送参入の公募 4社に免許認定の予定
9月9日電波監理審議会から、総務省に、BS放送に係る衛星基幹放送の業務の認定について、答申があった。同省は、BS放送への新規参入公募を行うことを発表し、2019年3月13日~5月13日までに9社が応募。
今回、適当と答申されたのはカワイイアン・ティービー、BS松竹東急、ジャパネットメディアクリエーション、ブロードキャスト・サテライト・ディズニーで、うちブロードキャスト・サテライト・ディズニーを除く3社はBS放送へは新規参入企業となる。今回の答申を受け、総務省は10月を目途に4社に放送電波の免許認定を行う。
電通「日本の広告費 2018」によると、衛星メディア関連広告費は、1275億円。前年比較で98%。総務省「衛星放送の現状」によれば、BSデジタル放送視聴可能世帯は、4287万世帯(2018年度)。2018年度のインターネット広告市場は、地上波広告市場とほぼ同じ規模の1.7兆円まで成長している。そのような市場環境で、今回の衛星放送参入3局は、どのようなビジネスチャンスがあり、どのような経営戦略を採用すべきだろうか。
番組起点のリアルビジネス展開 各伝送路に応じた映像の最適化
ひとつは、映像コンテンツを起点としたコト消費展開が考えられる。BS放送ビジネスの収益源が、広告枠販売だけでは大きな成長は見込めない。そこで、収益源=関連ビジネスを多様化する必要がある。数年前に「放送外収入」という言葉が業界で流行した。キャラクターのマーチャンダイズ、イベントなどの収入を拡大すべしという議論だったが、これからのBS局経営にもこうした戦略は、当てはまるだろう。
その領域も、ドラマ、アニメなど純粋なエンタテインメントのマーチャンダイズだけではなく、より衣食住に紐づいた領域でのコンテンツ、IP開発が必要となろう。シェフ、健康関連、ライフスタイルなどに新たなコンテンツ開発のタネが詰まっているし、その多様な利用は大きな投資を呼び込む力となる。
2つ目は、番組を起点としたビジネスの海外展開だ。東京五輪や大阪万博などを契機に、まだまだ日本へのインバウンド旅行客は増え、日本の衣食住文化に触れる人も増えていく。それに伴い、日本文化に対する映像、ビジネスモデルへのニーズは高まっていく。放送された番組の海外番販だけでなく、番組起点のリアルビジネス自体を売り込んでいく必要がある …