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集英社のブランド事業部長が語る「スマホは読者との新しい出会いの場」

集英社 ブランド事業部部長 川島敦子

「前例通り」が通用しないのが、変化の激しい今の時代。特に消費者のお気に入りメディアがスマホへシフトするなど、メディア接触が大きく変化する中で、マーケターは常にチャレンジが求められる厳しい仕事になっています。そんな環境にポジティブに向きあい、挑戦を続けている新時代のマーケターの方たちに、現在の課題、そして未来構想を伺います。

『SPUR White Wedding』・SPUR.JP・SPUR Weddingイベントのコンテンツをantenna*[アンテナ]の活用でクロスメディアに展開。

SPUR、MAQUIA、MORE、BAILA、Marisol、LEE、eclat、seventeen、nonnoと1出版社としては最多の女性誌9誌を発行する集英社。雑誌のブランド力を活用し、Web上でユーザー、そしてクライアントにとって新しい価値を提供しようと挑戦を続けている。同社の戦略におけるスマホの役割とは。

「スマホは読者との新しい出会いの場」

集英社ブランド事業部では女性誌ブランドの事業領域を広げるために、2つの事業を実施しています。1つが女性誌9誌のWebサイトを包括する女性メディアネットワーク「happy plus」(ハッピープラス:通称ハピプラ)。2つ目が、通販サイト「ハピプラFLAGSHOP」です。

両事業とも、昨年「mobilefirst」=スマホ最適化を実施して、PV・通販売上とも大きく伸張。現在、ハピプラのスマホからのアクセスは7割超。最適化を受けて、トータルで4000万PV(前年比160%)、MAQUIA ONLINEでは前年比400%、SPUR.JPでは160%のPV増となりました。

SPUR.JPでは広告売上も大きく伸張しました。ハイブランドを中心に、最近はブランドへの新規入門者を増やすため、雑誌より裾野の広いリーチが求められています。ハイブランドからすると、リーチは欲しいけれど、リーチが広すぎるのもブランド戦略上、得策ではない。その点、SPUR.JPは、ちょうどよいリーチをご提供できていると思います。

リーチをさらに広げるために、コンテンツの拡散にも力を入れています。ワン・コンテンツ・マルチユース、WebコンテンツはFacebook、twitter、instagramにあげてサイト流入を促すのはもはや当たり前。SNS独自のコンテンツもどんどんアップしています。さらに、キュレーション・メディアと連携した集客にも力を入れています。画像がおしゃれでユーザー層が雑誌サイトと似ているantenna*とは相性がよく、良質の新規ユーザーを獲得できていると考えています。

今年に入ってから、特にantenna*との連携を強化しています。例えばSPUR.JPでは、4月にウェディング・イベントを実施、6月にSPUR本誌とWebサイトSPUR.JPで同時に大特集を組み、antenna*でもウェディング特集を組んでいただきました。SPUR.JPは集客ができ、協賛したウェディング関連クライアントは拡散ができ、antenna*はコンテンツを得て…とまさにWin-Win-Winのモデルケースとなりました。

現在は雑誌サイトのクオリティを担保しながら、新しいユーザーにコンテンツを拡散したいというクライアントの要望に応えるには、雑誌サイト・ソーシャル・キュレーションメディアの組み合わせは鉄板の施策になりつつあります。

2015年に入ってから、事業推進に大きくドライブをかけています。まず、3月には『MORE(モア)』がCMSをリニューアルして、雑誌編集者が取材した記事や写真をその場ですぐにアップできるようにしました。さらに6月にはエンジニアやプロデューサーなどが所属するWeb専門会社Project8(プロジェクト・エイト)を設立しました。2016年前半に全サイトで新CMSを導入し、コンテンツ更新のスピードアップをはかる計画です。新CMSの導入後は、スマホアプリ開発にも挑戦していきたいと考えています。

日本の雑誌コンテンツには、さまざまな利権問題がかかわっているため、コンテンツを雑誌という枠の外に広げられず、使いきれていないというのが現状です。利権の課題を丁寧にクリアして“オールライツ”にしていくことが、次のフェーズに向かっていくことになるのだろうと思っています。

集英社 ブランド事業部 部長 川島敦子氏(かわしま・あつこ)

1981年集英社入社。『モア』編集部に5年間在籍した後、広告部に異動。女性広告営業の草分けとして活躍。2012年広告部部長代理を経て2014年ブランド事業部に配属となる。2015年ブランド事業部部長に就任し現在に至る。

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