セールスフォース・ドットコムと宣伝会議では2014年11月に「JAPAN CMO CLUB」を立ち上げ、マーケターが集まる研究会を開催している。企業と消費者の関係が大きく変わる時代、業種・業態の垣根を超えて、共通する課題を持ち寄り議論することで、これからのマーケティングの在り方が見えてくる。本コーナーでは研究会の様子をレポートする。
写真左から
サントリー食品インターナショナル 執行役員(マーケティング&イノベーション担当) 北川廣一氏、
ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー マーケティング本部 本部長 リュウシーチャウ氏、
JAPAN CMO CLUB CMO 加藤希尊(みこと)氏、
ソフトバンク 広告宣伝本部広告宣伝統括部長 内池大輔氏、
セントラルスポーツ 執行役員 マーケティング部長 鶴田一彦氏。
お客さま視点に立つと企業の真の価値が見える
9回目となるJAPAN CMO CLUBの研究会が9月10日に開催された。今回はサントリー食品インターナショナル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、セントラルスポーツ、ソフトバンクの4社のマーケターが参加をし、今回の開催で研究会参加企業が40社に到達した。
これまでの研究会では、参加各社にカスタマージャーニーマップを披露してもらいながら議論を深めてきたが、今回はそれに加え「マーケティング部門から発想するイノベーションのアイデア」についても考えを発表しあった。今回のテーマを設定した理由についてJAPAN CMO CLUBの加藤希尊氏は「お客さまを深く知るカスタマージャーニーについて議論をする中で、自社が想定していたのとは異なるお客さま視点に立った真のブランド価値が見えてくることがたびたびあった。加えて、その価値を基点に従来の業種・業態・商材のカテゴリに留まらない、イノベーションのアイデアも生まれてきた。技術がコモディティ化する現代においては、お客さまと最前線で向き合うマーケターの発想にこそビジネスイノベーションのヒントが潜んでいると考えているため」と説明した。
宣伝、マーケティング部門での経験を経て、今年度からサントリー食品インターナショナルで「マーケティング&イノベーション担当」執行役員という新たな役職で仕事に臨む、北川廣一氏はまさにお客さま視点に立ったビジネスイノベーションを興すことがミッション。北川氏からは商品開発などの技術力はもちろん、広告などのコミュニケーション、あるいはパッケージ改良による新たな利用シーン開拓など、マーケティングの視点から興せるイノベーションのケースが紹介された。
これに対して、他の参加者からは「競合他社だけを見ていると、お客さまが価値と感じる部分ではないところで、激しい競争が繰り広げられることもある。商材のカテゴリを超えて、会社そのものの存在意義や理念に立ち戻ることで、真に自社が提供すべき価値の本質も見えてくるし、そこにイノベーションのヒントがあるのではないか」との共感の声が上がった。
サントリーの「水と生きる」、ソフトバンクの「情報革命で人々を幸せに」、セントラルスポーツの「水から生まれたフィットネス」など、それぞれのビジネスカテゴリを超えた、企業の根幹の存在意義を見据えることが、大切との気づきがあった。またジョンソン・エンド・ジョンソンのリュウシーチャウ氏からは「コンプライアンス意識の高まりが、イノベーションの阻害要因にもなっている。マーケティング部門だけでなく、会社全体がお客さま視点に立ったイノベーションにチャレンジできる風土をつくることも大切」と話し、今回の議論はマーケティング部門から考える経営改革の在り方にまで及んだ。
「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWebメディア「アドタイ」にてレポート中です。
http://www.advertimes.com/special/cmoclub/