「広告」と「販促」の垣根が曖昧になっていると言われることが増えた。両者のKGIが「モノを売ること=生活者の行動を促すこと」だと捉えれば、なおさらその“曖昧さ”は色濃くなっていくとも考えられる。そんな今だからこそ、「販促」とは何か? を改めて見つめ直すことが必要なのではないだろうか。本記事では「販促コンペ」の最終審査員を務める奥谷孝司氏と嶋野裕介氏が議論。拡張するクリエイターの役割と今の販促施策に求められる発想を探る。
タッチポイント増加により人を動かす手段が多様化した
──「広告」と「販促(SP)」の垣根が曖昧になっていると言われて久しくなりました。それに伴って、クリエイターが担う領域も拡がっている印象を受けます。
嶋野:広告の本質的な役割は「人の心を動かすこと」。一方で販促の本質的価値は「心と体を動かし、購入までつなげること」。これは今も昔も揺るがないことだと思っています。以前は、広告では素敵なテレビCMやかっこいいコピーで人の心を動かしつつ、店頭では機能訴求をしたり割引やキャンペーンなどで最後のひと押しをするなど、広告と販促が分業・補完関係であることが多く、企画者の部署も分かれていることが多かったですが、いまはそれぞれが越境しあっている印象です。
奥谷:たしかに、当時は「広告」と「SP」どちらかが片方の役割だけを全うしておけばよい、という風潮はありましたよね。だから、両者が分断されているような捉え方がされていたのかなと思います。しかし、それだけでは機能しなくなってきたのが、…
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