ジェイアール東日本企画(jeki)はプロモーションの企画設計から制作・実施運営まで一貫して、知見・経験の豊かな社員が細部にまでこだわり抜き、効果の最大化を目指してきた。本連載では、効率化を追求する広告会社が多い一方で、jekiが実現している丁寧で精度の高い「jekiプロモーション品質」を伝えていく。
隠れ手作り層を新たに開拓 SNSには早くも期待の声
セブン-イレブン・ジャパンが風変わりなクリスマスケーキの予約受付を始めた。商品名は「まっしろDECO」。その名の通り、真っ白なホールケーキだ。3段のスポンジケーキでイチゴとストロベリーシロップをはさみ、スポンジの間と全体をホイップクリームで敷き詰めた。大きさは5号相当。
ジェイアール東日本企画(jeki)とENJINの共同プロジェクトが提案した。当初はクリスマスケーキ販促の依頼だったという。
それに対し、商品企画を提示したのはなぜか。それにはこんな背景がある。
ニフティ子会社のライフメディア(東京・世田谷)が昨年12月に発表した調査では「コンビニでクリスマスケーキを買う人」は494人中4.5%だった。最も多いのは「洋菓子店」で61.9%。「手作りする」も11.1%と少なくない。「デパート・デパ地下」は9.3%、「スーパー」は8.7%だった。
しかし、とENJINの川田拓人氏は話す。「調査では見えない『隠れ手作り層』がいるはず。この層を新たな顧客として呼び込みたい。本当は自分でケーキを作りたいが、時間や手間がかかるために手が伸びない人たちだ」
こう考えるのには、もうひとつ理由がある。昨今のいわゆる「デコ弁」などのブームだ。「デコ弁」はデコレーション弁当の略。さまざまな食材を駆使し、色とりどりに飾り付けた弁当のことだ。ソーシャルメディアに写真を投稿し、友人などに披露する人も多い。
「好みに応じてデコレーションできるケーキなら、隠れ手作り層やSNSでデコ弁を投稿する層にアピールできる。セブン-イレブンにとって、新たな顧客を集められる施策になる」(jekiの岡田裕部長)
実際、発表後にはTwitterに「今までずっと求めてた」「自分でデコするの?斬新」といった投稿が並んだ。
次は「まっしろDECO」の魅力をどう伝えるかがカギとなる。
メインビジュアルのポイントは、「とにかくプレーンで無垢な印象にすることだった」と、川田氏は語る。「まっしろDECOは自由に、手軽にケーキづくりを楽しめるのがよいところ。想像を豊かにふくらませてもらえる表現を目指した」
白い背景に白いディッシュ、白いケーキ。フォトグラファーの片桐飛鳥氏がライティングを駆使し、3種の白が映える写真を撮影した。
一方、作例写真はとてもビビッドな色合いに。創作料理で人気のアラキミカ・中村亮子両氏のユニット「Goma」が手がけた。「この差が、デコレーションの楽しさを描き出す」(川田氏)
「まっしろDECO」の受付締切は12月19日。「一番の後押しは、やはり購入者の写真投稿。受け渡しが終わるクリスマスに集中するだろうが、次のシーズンの拡販につながるはずだ」(岡田氏)
クリスマスケーキそのものではなく、「ケーキづくりの体験」を提供する─jekiとENJINの共同プロジェクトが販促企画を考える過程で、オリエンの枠を超え生まれた「まっしろDECO」。クリスマスシーズンのセブン-イレブンの新たな定番となりそうだ。
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