7月25日、ERGOMPM(エルゴエムピーエム)主催のもと、「ブランドエクイティ向上セミナー」が行われた。テーマは「愛され続けるブランドのさらなる顧客開拓のヒント」。新規顧客向けにブランド認知を高めつつ、店頭で商品を手にとってもらう手法について、事例を交えて紹介された。

ターゲットが変われば、商品購入までのプロセスが変わる
第1部では、日清食品 マーケティング部 藤野誠ブランドマネージャーが登壇し、主に若年層を対象としたWebコミュニケーション事例を紹介した。デジタルネイティブ世代に向けて「マスメディア中心の広告施策にプラスしてデジタルを活用して両者をつなぐことが必要だ」と説明。
藤野氏は、カップ麺「カップヌードル」のプロモーションで実施した、再生回数1050万回超のWeb動画「サムライ in ブラジル」や、昨年度話題を集めた「イタリア人が認めなかったパスタ」の事例を紹介。また、最新の話題としてエスニックシリーズのプロモーション「ドSニックパラダイス」の事例で「バカバカしいけど面白い、と思ってもらうことを拡散の起爆剤にする」と共に、「若年層の共感を得るためには、彼彼女らの文化や内面に寄り添う施策こそが重要」と強調した。
同ブランドでは、それらのポイントを押さえたWeb施策を展開し、若年層のマイブランド化を実現しているという。
続く第2部では、印刷物の調達から製作工程、在庫管理までを一元管理することで企業のマーケティングをサポートするERGO MPM 伊藤芳子代表取締役が登壇。デジタル化によって、ブランド認知から商品・サービス購入までの道のりが多様化していることを指摘し、POS(販売時点情報管理)のアンケート調査結果から、商材による情報伝達の違いを説明した。
例えばアルコール商品の場合、事前に情報収集せずに店舗で購買を決める人が85%を占め、決め手となるのは商品の外見デザインと店舗のPOPだという。一方、化粧水では、年齢が上がるにつれ、事前に購入商品を決めている人の割合が増えるという分析結果も。購入までのプロセスを定量面から読み解くことで、購入するチャネルに応じて、ターゲットに合わせた店頭のコミュニケーション展開を工夫する重要性を説いた。
第3部では、藤野氏、伊藤氏に加えて、コーセー 執行役員でもある北川一也宣伝部長を交え、パネルディスカッションを行った。発売から31年になるロングセラー商品「雪肌精」のブランディングについて事例を紹介しながら、商品ライフサイクルが衰退しないためにキャラクター変更を行った事例などを説明がなされた。
藤野氏と北川氏は、それぞれ「カップヌードル」「雪肌精」ともに、長く愛されているからこそ、他社の新商品に劣らずブランドの鮮度を保つ工夫が必要だと強調。「カップヌードルでは、毎週新商品が発売されるコンビニエンスストアのカップ麺市場の中で抜きん出るために、新商品の開発・リニューアルのペースを隔週で検討し、次の一手を常に考えている」と藤野氏が語れば、北川氏は「雪肌精の場合は、コーセーブランド内の基幹商品という立場をふまえつつ、CSRを意識したキャンペーンや、店に合わせたデザインの工夫などで、ブランドの鮮度を保とうとしている」と話し、講演を締めくくった。

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藤野誠氏

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