企業のコミュニケーションにおいて、生活者を理解し、寄り添いながら、直接的に訴えかけていくにはどうすればいいのか。今年で4回目を迎えるイベント「DM week」では、ダイレクトマーケティングの最新技術を事例とともに紹介。2016年2月29日から3月4日まで東京・港区のトッパンフォームズビルでセミナーや展示を展開した。

DM weekは、3日間のセミナープログラムが組まれた。これまで「DMを科学する」ことに焦点を置いてきたが、今回はさらに「心につながるストーリー」をテーマに据えた。
気持ち良く情報を受け取ってもらう
生活者の心をとらえ意思決定を促すために、どのメディアを利用するか。ダイレクトマーケティングを実践する上では、その選定も鍵となる。DM week 2016では、「デジタルマーケティングの変遷とこれからのデジタルマーケティングについて」と題し、ウェブ動画によるコミュニケーションを主な事業とするC Channelの代表取締役で、元LINE社長の森川亮氏が講演した。スマートフォンの性能向上で、文字から写真、動画へと、リッチなコンテンツを介したコミュニケーションが増えており「デジタルコミュニケーションに革命が起こるのではないか」と森川氏は指摘。海外ではすでにソーシャルメディア動画が注目されており、その波は日本にも訪れると森川氏は話した。質疑応答では、同時に開催していた日本郵便主催の全日本DM大賞入賞作品展に関連し、ダイレクトメールについての質問も出た。森川氏は「紙メディアは、情報が記憶に残りやすい」と話し、アナログ的な手法の効果をより高めるためにデジタルの技術や分析力、効率化を組み合わせていけばダイレクトメールなどの活用は活性化していくという見解を示した。
企業と顧客が双方向でコミュニケーションする時代において、企業は、より「個客」の心をとらえ、心地良く情報を受け取ってもらい、行動へ導いていこうとする流れにある。生活者の嗜好性をセグメンテーションし、その結果をマーケティングの戦略立案と戦術支援に生かせれば、ターゲットの心に届くコミュニケーションが実現できる。そのためのツールとしてセミナーで紹介されたのがトッパンフォームズの「Ugocus Engine(ウゴカスエンジン)」だ。生活者の嗜好性を10種類のタイプに分類し、好むデザイン表現を体系化。企業のコミュニケーションを、顧客の嗜好性に合わせて最適化できるというもの。セミナーではその機能解説も行われた。
またコミュニケーションの打ち手を自動化するマーケティングオートメーション(MA)について、ディレクタスの代表取締役、岡本泰治氏が講演。「これからのMAはO to Oの体験を通じた顧客満足やエンゲージメントの向上を目指す方向へ進むだろう」と見解を示した。
生活者の心をとらえるメディアや分析する技術、コミュニケーションを実行するツールは進化を続けている。ダイレクトマーケティングをとりまく環境変化のスピードと広がる可能性を実感する3日間となった。

これからのデジタルマーケティングについて講演する、C Channelの森川亮氏。

会場では、ダイレクトマーケティングの最新ソリューションの展示を実施。
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