リアルTwitterボタン付きの駅ポスター、改札でのプッシュ通知、駅構内カフェでのタッチ&トライイベントなど、新たな媒体企画に挑む小田急エージェンシー。森田英行 交通広告部長に、注力している施策と、これからの交通広告のあり方について聞いた。
「広告を見た人の行動の可視化や、体感を促す施策で、交通広告の新たな可能性を探りたい」と森田英行交通広告部長。
広告を見た後の行動を可視化
交通広告の魅力をさらに高めるため、三つの分野に注力しています。一つ目はデジタルサイネージ。日本最大の乗降者数を誇る新宿駅の西口地下に46面のデジタルサイネージを設置しています。連続するビジュアルで、改札へ向かう人々を引き付ける媒体として利用されており、今後このサイネージのエリアをさらに拡大したいと考えています。また、小田急線の電車内ビジョンを増やし、現在約20%の車両で導入。「小田急TV」として今後コンテンツを配信する予定で、番組のオリジナルキャラクターも、徐々に人気を集めています。
二つ目は、スマートフォンとの連携。電車内や駅構内でスマホを見ている人が多いことから「交通広告VSスマホ」という構図で語られることがありますが、両者の親和性はとても高い。私たちはスマホと交通広告を連携させ、話題・行動の喚起を図るため、駅ばりポスターに「リアルTwitterボタン」を設置してSNSへの投稿を促す取り組みを行ったり、駅改札や構内の売店にビーコンを設置し、アプリを使ったプッシュ通知で売店へ誘導する実証実験を行ったりして、知見を深めています。
三つ目は効果測定。交通広告業界全体で取り組む「交通広告共通指標推定システム」に参加することはもちろん、当社独自の調査も進めています。先述のリアルTwitterボタンでの計測もその一つです。ボタンを押す、ツイートする、という行動がデータとして残れば、「いつ」、「どこで」広告に触れているのかを可視化できます。これまで乗降人数で判断していた駅ごとの広告価値の基準を見直すきっかけにもなっています。
新刊コミックス発売に合わせ、新宿駅を中心に11駅で展開した駅ばりポスター。ボタンを押すとすぐにTwitterが起動。音声が聞こえる特典もつけた。交通広告に「ボタンを押す」という行動を付与することで、接触者の可視化にもつながった。
リアルな場で体感を促し購買へ
最近の交通広告では「体感」を重視する傾向にあります。リアルな場で体験は、他媒体にはできない、交通広告ならではの強み。私たちが新宿駅内に展開する広告カフェ「Q’s cafe」も、体感プロモーションの場として活用されています。特に「認知を上げていくために、まずは商品の良さを試してもらい、話題を広げたい、購買につなげたい」という課題を持つ企業から好評を得ています。
体感を促す、楽しく面白いプロモーションが増えていけば、交通広告の価値はさらに高まっていくでしょう。交通広告でどんな表現をしていくか、私たちも広告主の方と一緒になってつくっていきたいと考えています。
生活者のマスメディア接触状況が激変する一方で、小田急線の利用者は1日あたり約200万人と、そのボリュームはほとんど変わっていません。私たちの交通広告は非常に多くの人に届く可能性があるということ。この可能性を最大限に生かすため、さまざまな試みをこれからも重ねていきます。
Q’s cafeは新宿駅構内にある。写真は焼酎「ふんわり鏡月」が、期間限定店舗として活用した事例。店舗の内外に装飾を施しオリジナルメニューを提供した。
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