従来手法では、なかなか購買を動かすことが難しくなってきた。現代の消費者は、どのようなマインドにあるのか。その攻略法と共に探る。
女性向けファッションの月額制レンタルの「airCloset」は、登録したサイズや好みからスタイリストがコーディネートしたアイテム3点を宅配する。月額6800円(税別)。
節約がトレンドからスタンダードに
消費者の節約志向が定着しつつある。総務省が発表した2015年の総世帯の家計調査では、物価変動を除いた実質の消費支出が前年比2.7%減と2年連続でマイナスとなった。総世帯の月平均消費支出は24万7126円で、比較可能な2000年以降で最低の水準だったという。
物価上昇や消費増税の影響もあるが、街角で好況感が実感されず、長らく続いた構造不況が「スタンダード」になってしまったことが伺える。支出の構成比の25%を占める「食料」は、月平均額6万1833円で実質増減率0.5%減とほぼ横ばいだ。
一方で、海外旅行やクルマ、洋服ファッション関連といった高額出費は減っている。消費支出の構成比で13.5%を占める費目の「交通・通信」は、特にクルマ関連の支出が下がって7.2%減に。構成比10.1%の「教養娯楽」は5.5%減、構成比4.0%の洋服・ファッション関連(被服および履物)は、6.4%減となった。
ファッション関連は、全体の増減率への影響を示す「寄与度」で、10費目中4番めに位置する。2015年は天候に恵まれずに買いしぶりが起きたとされるが、果たして原因はそれだけだろうか。
「KURANDクラブ」は月額2780円(税込)で、月替りで全国の蔵元から日本酒が届く。受注生産型のため、通常手に入らない清酒なども楽しめる。3カ月・6カ月のコースもある。
「いまのままで十分」背後に潜む保守志向
「世代を超えて消費の成熟化が進んでいる」と指摘するのは、野村総合研究所(NRI)上級コンサルタントの松下東子氏だ。同氏は「NRI生活者1万人アンケート調査」に1997年から携わる。
「大きな買い物は控え、日々の暮らしの中でささやかな楽しみを見つける、モノを持たないシンプルなライフスタイルを望む、そんな傾向が強くなって来ている。これは、若い世代でも見られる傾向 …