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買い物客が動く!体験・デジタル アイデア事例

【座談会】店頭×テクノロジー 新しい買い物体験の現在と未来

アイ・エム・ジェイ/インテル/日本ユニシス/リゲイン

ECサービスの利便性が向上する中で、店舗は顧客にどのような価値を提供していけばいいのか。売り場や接客を、テクノロジーを駆使して支援する4社が集まり、顧客を楽しませる新しい買い物体験のあり方や未来について話し合った。

左から
アイ・エム・ジェイ UXRD本部 R&D部 Smart Innovation Unit(すまのべ!) マネージャー
加茂春菜氏
インテル 事業開発部 シニア・マネージャー
津乗 学氏
日本ユニシス インダストリサービス 第二事業部 営業三部 第一営業所
丁友香子氏
リゲイン 執行役員 事業企画室 室長 兼 コンサルティング部 部長
無尽洋平氏

ロボット接客がショールーミング対策になる?─現在のお仕事について教えてください。

加茂:アイ・エム・ジェイでは、企業ニーズに合わせて、デジタルマーケティングをサポートしています。私はその中で、「アイデアとテクノロジーで世の中に!を。」をコンセプトに、研究開発を行う「すまのべ!」という2人組ユニットを組み、最新のテクノロジーをデジタルマーケティング領域に活かすアイデアを日々研究しています。

津乗:私の所属するインテルは、パソコン向け半導体のイメージが強いと思いますが、現在の主軸はパソコン以外の部分。IoT製品のマーケティングを含め、幅広い業界向けのソリューションを開発する動きが活発になっています。私自身は、小売流通、消費財メーカーを中心に、新しい技術の紹介や、ビジネス提案を行っています。

丁:システムインテグレーターとして知られている日本ユニシスですが、近年は、システム開発にとらわれないサービス事業を強化しています。2015年12月からは、新しいビジネスとして、米Fellow Robots社製の移動型ロボットの取り扱いを始めました。そして2月からはヤマダ電機さんのテックランド青葉店でロボット接客の実証実験を行っています。

無尽:リゲインは、今年8期目のベンチャー企業で、マーケティングとセールスにおけるコンサルティング事業を行っています。14年からは、ウェブチャット事業を開始しまして、システム開発、運用、コンサルティングまで行える体制をつくり、大手企業を中心に200サイトに導入されています。私は事業企画室長とコンサルティング部長を兼任していて、人が心地よいと感じる接客とは何か、人と機械による接客の違いの分析などもしています。

─売り場を支援する取り組み、新しい買い物体験につながる施策について聞かせてください。

加茂:スマートフォンの画面にタッチするとスタンプを押すことができるデジタルスタンプサービス「HiTAP®」があります。紙で行っていたスタンプラリーやポイントカード、クーポンの消込などをスマートフォンで行えるため、印刷費などコスト削減につながります。最大のメリットは、来店や購入の履歴データを取得することができ、顧客管理に活かすことができるところですね。また、来店すれば反応するビーコンなどに比べ、HiTAP®はアプリではなくブラウザで完結できるため、事前にアプリを落とす手間がかからない。スタンプを押してもらうアクションはアナログと同じなのでオペレーションは簡単です。既に飲食店や生活雑貨店、旅行会社や航空会社などで活用していただいています。

また14年からはロボットアプリの開発を行っており、Pepperが来場者に展示内容を紹介する「Pepperコンパニオン」などを開発してきました。「Pepperを試してみたいがどう使えばいいのか」という問い合わせは多くいただいています。どのようなシーンやコミニケーションシナリオでPepperを使うのが効果的なのか、実際に現場で試してみながら研究している段階です。

丁:当社の扱うロボット「NAVII(ナビー)」は、お客さまが目当ての商品を伝えると、ロボットが場所まで案内します。正面と背面に画面がついていて、お客さまとのやり取りもできます。RFIDを認識するセンサーが入っているので、商品にICタグをつければ在庫管理もできるようになり、将来的には人件費削減につながってくると思います。当初は顔のないロボットは見慣れないのか、若い方からは避けられたりすることもありましたが、ご高齢の方を中心に、積極的に近づいて体験されるケースが増えていったのは意外な発見でした。

加茂:Pepperは顔があって親しみやすいので接客にとても向いていますが、一方で、安全のための衝突防止機能が働くため、狭い売り場の廊下を人をよけて移動することがまだ難しいですね。Pepper単体だけで完結させず、店内のデジタルサイネージなどの他の機器とつなげて、店内全体で複合的に体験をデザインする必要があるかもしれません。

津乗:例えば家電量販店などではショールーミングが大きな課題となっていますが、ロボット接客によって、その問題が軽減することはあるのでしょうか。

丁:今回のロボット接客の実証実験の結果を受けて、その解決の糸口が見つかればよいと考えています。

    進化するロボット接客

    アイ・エム・ジェイ/Pepperセルフィ
    Pepperとの写真を気軽に撮れるカメラアプリ。Pepperが手に持ったオープンプラットフォームカメラOLYMPUS AIRで、セルフィ風写真が撮れる。写真データはQRコードとしてプリントでき、後でダウンロードが可能。Pepper APP Challenge 2015 ベストユーザーインターフェース賞受賞。


    アイ・エム・ジェイ/ロボットインフォメ
    来店客がPepperからの質問に答えると、Pepperが各フロアやおすすめショップを紹介、店舗への行き方を教えてくれる。


    日本ユニシス/NAVII(ナビー)
    希望の商品を伝えると、ロボットが商品の置いてある場所まで案内。画面を通じて、顧客とのやり取りも可能。

加茂:ロボットにセルフレジを搭載するなども検討されていますか。

丁:ロボットにICチップを入れれば、レジに並ばずにその場で決済することも技術的には可能と思います。

加茂:ロボットに「カードをピッとしたらすぐに買えるよ。他のサイトでは○○円だから、△△円の差だよ。」と隠さず言ってもらうことができたら、その場ですぐに買いたくなる、新しい体験になりそうです。

丁:例えば「配送料がかからない分、こちらの方が安いよ」と言わせれば ...

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