新たな機能性表示制度は、商品やプロモーションを考えるマーケターにとっては大きなチャンスとなる。対象商品や費用、期間などが緩和されたことで、大企業に関わらず、さまざまなカテゴリー、企業から機能性表記が記載された新商品が発売される可能性が高い。こういった中で、機能性表示制度をパッケージデザイン戦略に生かすにはどういった点を考慮すべきか。過去の医薬品・食品のパッケージデザイン・コピー開発の経験を参考に「注目すべき5つのポイント」をご紹介したい。
挑戦的コピー開発と組織風土
機能性の伝達に必要なのは、一定のルールの中で、どれだけ挑戦的なコピーが作れるかという技術的な側面が大きい。長い間、家庭向け医薬品のパッケージデザインをお手伝いしているが、最も悩むのはコピー要素である。
薬事法では効果効能を明らかに保証するような表現や、最高、1番というような最上位表現の禁止など、さまざまなルールがあり、このルールを守りながら商品の効能を感じてもらうコピーワークにはかなりの腕が必要になる。ぎりぎりの表現の中で、正しく商品の良さを伝えるためには、医薬品や化粧品のコピーを長年経験している人などの助言やサポートは大変役に立つのではないだろうか。
またもう1つ、コピーワークで大切なのは、ルールの中で最大限の商品ベネフィットを伝えようとする「挑戦的な組織風土」である。もちろん誤認を誘発したり、ルールを逸脱するような表現は避けなければならないが、「危ない表現は全てやめよう」という、「石橋を叩いて渡らない」組織風土では魅力的なコピーは生まれない。
どこまで表現可能かは常に変わる
今回、機能性表示制度を管轄するのは最終的には消費者庁が中心になると思われるが、どこまでの表現が許されるのかは、結局のところ人が判断するものなので、誰でも分かるようなYESかNOかの判断基準は存在しない。それどころか、常にその基準の適用の考え方は変わっていくだろう。実際、現行の特定保健用食品(トクホ)においてもその表現のルールはあるものの、表現が許される言葉の範囲は常に変わっていると感じている。
例えば特定保健用食品のお茶のパッケージに記載された文例を見ても、「脂肪を消費しやすくする」「脂肪の吸収を抑える」といった機能的な表現がある一方で「体脂肪を減らす」というかなり直接的な効果を想像させる表現まである。今回の機能性表示制度において、どういった表現が許されるのかどうかはトクホのように国による審査がなく、分かりにくいが、施行後に発売された商品の表現や消費者庁のガイドラインの適用に関する情報発信などを常に収集・分析することで、表現可能領域について情報のトレンドを押さえておくことが大切である。特に検討会報告書では、今回の機能性表示緩和の施行2年後の見直しが提言されているように、数年後に大きな見直しや規定の改正が行われる可能性もあるため、常に情報の収集が鍵になる。
また、トクホの消費者認知、信頼、差別性に大きなトレンドがあったことを見ても分かるように …