「愛されるには他とは違う"個"として認識されること」SNS時代の企業広告の考え方
造船にルーツを持つ総合重工業グループのIHIは2023年12月、創業170周年を記念した企業CM「道程」篇を公開した。広大な砂丘の中で、一歩一歩、歩みを進める亀の姿を描いたCM。同社の社外クリエイティブディレクターとしてコミュニケーション活動を推進する17の松尾卓哉さんは、企業が愛されることの前提を「個として認識されること」だと話す。
10年、20年、50年、100年と創業から長くステークホルダーに愛されてきた企業ブランド。そのイメージを形成し企業体としての進化を後押しする、広告やデザインの役割とは。そこには時代の流れを鋭く読む、クリエイターの存在があります。今回は長く続く広告コミュニケーションやそのメッセージの変化、企業としての「顔つき」を変えるリブランディングなどのケースを取り上げ、パートナーとして並走するクリエイターの思考プロセスなどにも迫ります。
造船にルーツを持つ総合重工業グループのIHIは2023年12月、創業170周年を記念した企業CM「道程」篇を公開した。広大な砂丘の中で、一歩一歩、歩みを進める亀の姿を描いたCM。同社の社外クリエイティブディレクターとしてコミュニケーション活動を推進する17の松尾卓哉さんは、企業が愛されることの前提を「個として認識されること」だと話す。
2017年の「壁がある。だから、行く。」シリーズから始まった産業機械メーカーのクボタが展開する企業広告。農機や小型建機の分野で日本一の実績があるにもかかわらず“寡黙”で、その実力に見合っていなかった同社のコミュニケーションを認知・企業理解の面で押し上げてきた。当初からクリエイティブディレクションを担ってきたdentsu Japanの西田新吾さんに話を聞いた。
2017年に放映された「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」というコピーで知られるテレビCMを皮切りに、刻々と変化する世の中の「結婚観」を捉え、果敢に発信をし、共感を生んできたリクルートの『ゼクシィ』。非常に個人的かつセンシティブなテーマだが、どのように世の中の空気を捉えてきたのだろうか。
不二家は2023年9月、今年創業1 14年目を迎えた洋菓子販売チェーン店「不二家洋菓子店」のリブランディングを発表した。アートディレクションは6D の木住野彰悟さん。ブランドのビジュアルアイデンティティを整理し、新たな器として「スマイルマーク」を生み出した。マーク化のプロセス、ブランディングプロジェクトへの向き合い方など話を聞いた。
1969年に開業し2024年に創業55周年を迎えたパルコ。その広告は、国内外の気鋭のクリエイターやアーティストらと手を取り合い、時代の風をつくってきた存在でもある。そんな広告は現在、どのように企画・制作されているのだろうか。宣伝部クリエイティブチームに話を聞いた。
東京ガスが2008年から放映している、家族の姿を描いたテレビCMシリーズ。2019年まで続いた「家族の絆」シリーズののち、2022年には「子育てのプレイボール」篇、23年には「母の推し活」篇など変化する家族の在り方も表現に織り交ぜてきた。なぜ東京ガスは一貫して「家族」を描いているのか。シリーズが始まる少し前の2006年から担当している電通グループの澤本嘉光さんに話を聞いた。
季節の訪れを伝えるみずみずしいビジュアルと時代に軽やかに切り込み、ハッとさせるコピー。新宿、大宮、横浜などJR東日本ターミナル駅に直結する商業施設「ルミネ」の企業広告は、2007年から約20年弱かけてその「らしさ」を確立させてきた。移り変わっていく時代の中で人の心を捉え続けるコピーは、どのようにして生まれているのか。