大手広告会社の中には、海外拠点に短期間社員を派遣する「留学制度」を設けているところがある。どのような制度が運用されているのか。博報堂のケースを紹介する。

各拠点で行われてきた海外実務研修の様子。
日本から海外拠点へ 海外拠点から日本への2種類
博報堂の海外留学制度(海外実務研修)は5年前からスタートし、これまで計22名が参加している。日本から海外の拠点へ派遣される「アウトバウンド研修」と、逆に海外の拠点から日本にやってくる「インバウンド研修」の2種類がある。参加するのは入社10年目前後の若手が中心で、職種はストプラからクリエイティブまで幅広い。行き先(あるいは来日元)は、アメリカ、カナダ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、中国、シンガポールなどアジアを中心とした世界各国だ。
「期間は約3カ月です。短い期間なので、語学力やスキルの向上というよりも、グローバルセンスを磨くことにポイントがあります」と、博報堂でグローバルMD推進局の局長を務める木村健太郎さんは言う。違う文化背景を持つ人たちと、違うワークスタイルのもと、違うマーケットの仕事をする。それによって、自身の仕事をより俯瞰的、客観的な視点で見られるようになる。さらに、狭い殻を破り、もっと世界の人たちに広く届く広告を作りたいという"欲望"を目覚めさせることも狙っている …