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世界を舞台に活躍するクリエイターの新しい働き方

中国でクリエイティブマネジメントに挑戦する

津布楽一樹(上海電通)

海外に電通CDCを輸出せよ──。そのミッションを与えられて、2014年に単身中国へと渡った電通の津布楽一樹さん。現在、上海電通のCCOとして、約100名の現地クリエイターを束ねながら、クリエイティブの向上に取り組んでいる。

「CDCの輸出」をミッションに中国に赴任

電通のストラテジストとしてキャリアをスタートし、電通本社在籍時から、グローバル案件を扱う部署で東南アジアや中東、ロシア、ブラジル、アフリカなど海外のキャンペーン制作に多数携わってきた津布楽一樹さん。2014年に電通CDCを海外に輸出する計画が浮上した際、「アジア最大のマーケットである中国にCDC組織を立ち上げ、サービスの提供を始める」というミッションを背負い、単身中国に渡った。

「電通には海外ネットワークのDANがあり、中国でも北京や上海など約20社で仕事を展開していました。最初僕は北京電通に赴任し、当時DANが中国マーケットで提供しているサービスや、その状況を各社幹部と話し合CDC Chinaはどういう役割を担うべきかについて調査を進めていきました」。こうしたヒアリングを経て、2カ月後にはCDC Chinaを立ち上げた。

CDC Chinaとして掲げた目標は2つ。「1つはピッチの勝率を上げ、新たなアカウントを獲得することです。当時はフィルムとグラフィックの仕事が多く、電通のクリエイターもそこは得意でも他は苦手という人が多くいました。そこでCDC Chinaは、デジタル、ソーシャル、テクノロジー、O2O、Eコマースなど、新たな領域を意識して競合に参加していくことにしました。もう1つは現地で電通のクリエイティブレピュテーションを上げることです。現地オフィスは立ち上げ時から、日本で作られたグローバル素材を各国で展開するアダプテーションの仕事が多かったため、中国の広告業界の中で電通のクリエイティブの評価は高いとは言えない状況だったんです。そこで広告賞の受賞や、審査員や講演を重ねることで価値向上を地道に行ってきました。受注作業だけではなく、自主提案も重ねるカルチャーに変革した結果、ここ3年で90程度のメダルを獲得できました」。

そして2015年秋には上海に移り、エグゼクティブクリエイティブディレクターに就任。さらに昨年からは上海電通のCCO(チーフクリエイティブオフィサー)として、CDC Chinaと上海電通、2つのチームのクリエイティブの指揮を任されている。「僕がCCOに就任した1年前は日系クライアントの収益がほとんどを占めていましたが、欧米系とローカルのクライアントを獲得していった結果、日系クライアントは減らさずほぼ半々の割合まで変え、大きく収益を伸ばせました」。

それに合わせスタッフの国籍も中国系または英語系の人材に切り替えていった。現在CDCに10人、上海電通に約90人のクリエイターがいるが、そのうち中国大陸系が70人、台湾が15人、香港、マレーシア、シンガポール、イスラエル、日本で構成されている。現地スタッフは中国語でやりとりするが、CD以上の役職の共通言語は英語に定めている …

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