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広告を超えて広がる言葉の現在形

マーケティング戦略の中心で機能したキーワード

資生堂

資生堂「エリクシール」では、2016年夏以降、「つや玉」というキーワードを中心に販売戦略を打ち出し、売上が好調に推移している。この言葉が生まれた経緯を聞いた。

エリクシール グラフィック広告。

「うるおい」「ハリ」「透明感」などに代わるキーワードを開発する

資生堂のエイジングケアブランド「エリクシール」の売上が好調だ。その要因のひとつは、資生堂が2016年夏からCMや販促で一貫して使っている言葉「つや玉」にある。資生堂ジャパン エリクシール ブランドマネージャーの北原規稚子さんは「つや玉」が生まれる以前の状況を次のように説明する。「当時のスキンケア業界は短期的な機能訴求に偏りがちで、エリクシールのCMも機能面を重視していました。売上自体も実際伸びていたんです」。

一方で、技術や成分を根拠に訴求する機能訴求では、どれだけマーケティング投資できるかの体力勝負になってしまう側面があった。「例えば美容液で10の投資をしても、次のクリームでまた同じように10の投資をし⋯と商品ごとに投資を続けなければならない。その状況を脱し、いかに安定的に伸びていくブランドにするかを考えはじめました」。

そこで取った戦略が、「うるおい」や「ハリ」、「透明感」といった一般的な肌のベネフィットに代わる、新たな言葉をつくりだし、美しい肌の定義をその言葉に転換すること。そして、それが実現できるのはエリクシールだけと訴求することだった。

こうして生まれた言葉が「つや玉」で、この言葉ができたことで、エリクシールの中で化粧水や乳液などプロダクトを横断して、同じキーワードを使えるようになった。「『つや玉』を肌ベネフィットとして訴求し、『肌を最高の味方に。』をブランドのベネフィットにしました。全商品を『つや玉』でコミュニケーションすることで、毎回ゼロからコミュニケーションを組み立てるのではなく、積み上げていけるようになったんです」。

ターゲット女性のインサイトをベースに生まれた

「つや玉」という言葉は、エリクシールの主要ターゲットである30代女性のインサイトから生まれている。「女性は30代になると、それぞれの選んだ道―専業主婦か、子どもは生むのか、仕事は続けるのか、どの程度仕事をするのかなど―によって生活が大きく変わってきます …

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