「アオハルかよ。」のコピーと、国民的名作の青春シーンをリメイクしたアニメを組み合わせ、話題を呼んだ日清カップヌードルのCM「HUNGRY DAYS」。キャンペーンを貫くキーワードはどのように生まれたのか。

「魔女の宅急便」篇
青春はまぶしいから揶揄するぐらいでちょうどいい
昨年6月から1年間にわたり日清カップヌードルのCM「HUNGRY DAYS」シリーズが放映された。「誰もが知っている国民的コンテンツを青春アニメ化する」というコンセプトのもとに制作されたCMは、『魔女の宅急便』、『アルプスの少女ハイジ』、『サザエさん』、そしてオリジナルストーリーの『たとえ世界で何が起ころうとも、誰も青春を奪うことはできない』の4種類だ。このシリーズには、「HUNGRY DAYS」と対になる「アオハルかよ。」というコピーが全篇通して登場する。
クリエイティブディレクターの電通 佐藤雄介さんは「オリエンの内容は30代以下のユーザーを増やしたい、特に10代の喫食率を上げたいというものでした。それを聞いて僕たちのチームは"青春"をテーマにして、1年間キャンペーンを回せる言葉を考えていきました」と振り返る。
最初に出てきたのは、キャンペーンのフレームとなる言葉「HUNGRY DAYS」だった。「青春をカップヌードルらしい言い方で置き換えると、青春=ハングリーな日々になるんじゃないかと。続いて、ターゲットである10代の言葉に入っていけるような言い方を考えていきました。『青春』とそのまま言うのが一番早いんですが、いかにも大人から言われている感じになるし、広告では既に使い古された言葉です。でも、青春から離した表現にすると機能しなくなる可能性があるので、青春=アオハルとカタカナに変えてみました。ちょっと瑞々しく新しいイメージになると思って」。
アオハルという言葉自体は漫画などで既に使われている言葉だったが、佐藤さんは青春のイメージをアップデートするという企画自体にも合うと考え、アオハルに決めた。
ただ、青春=アオハルと言い換えても、まだ恥ずかしさが残る。「青春ってまぶしいものだから、揶揄するぐらいでちょうどいいんですね。だからCMの表現はストレートなザ・青春を描き、最後に1つだけ『かよ』という語尾で冷静な視点を入れ、かわいい書体で"アオハルかよ。"とツッコむことで、収まりが効いて全体のバランスが取れると考えました」。この言葉を広告で使うことで、10代がInstagramで夏の海の写真などと共に「#アオハルかよ」とハッシュタグで発信するようになることも狙った。
通年キャンペーンだったことが、この企画にチャレンジできた理由だという。「数回のオンエアで誰も使っていない言葉を流しても理解されませんが、1年間流し続けることで、だんだん意味が浸透していく。上の世代にも徐々に伝わっていったようです」 …