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電通・長久允さんがサンダンス映画祭短編部門でグランプリを受賞

9000本の中からグランプリに

「そうして私たちはプールに金魚を、」(製作:Moon Cinema Project、製作プロダクション:ロボット)

今年1月にアメリカ・ユタ州で10日間にわたり開催されたサンダンス映画祭。その短編部門で、日本の出品作品がグランプリに選ばれた。電通 CMプランナー 長久允さんが脚本・監督を務めた「そうして私たちはプールに金魚を、」である。短編部門への応募数は9000本、そこからさらに絞られ、会場で68本の作品が上映され、投票が行われる。実に狭き門であり、日本人としては同映画祭で初のグランプリとなる。

映画は、2012年に埼玉県狭山市で実際に起きた事件がベースになっている。4人の女子中学生が「プールに泳ぐ金魚の姿がきれいだと思って」と、400匹もの金魚をプールに放流し、書類送検された事件だ。

「学生時代からずっと映画を撮りたいと思っていたのですが、仕事を始めてからなかなか機会もなく、ひたすらネタをストックする日々でした。そんなときに、ネットでこのニュースを見たら、みんなが"エモい""熱い"と盛り上がっていた。その事件から2年経ても誰も撮る気配がなかったので、じゃあ、これを撮ってみようと」。

長久さんはこの事件をベースにした物語の企画書を、若手映画監督を応援するプロジェクト「MOON CINEMA PROJECT」に応募。見事にグランプリに選ばれ、短編映画製作費の支援を得ることができた。そしてロボットの協力を得て、2016年春に事件が起こった狭山で撮影した。

物語は、埼玉県狭山市が舞台。東京に近い位置にありながら、東京をどこか遠くに感じて出ていくことができない4人の女子中学生の日常が綴られる。学校、地元のゲームセンター、カラオケボックス、プール、お祭りと場面はどんどん移り変わり、物語は速いテンポで進んでいく。カメラも固定ではなく、主人公たちの気持ちのブレやノイズ感を表現するために、シーンによってiPhoneで撮影した映像も使っている。

「わずか30分の尺に40シーン以上入っているんです。この10年、映画を撮れたらやりたい!と思っていたことを全部つめこんだので、スタッフは大変だったと思いますが、100%実現できました」。

映画を見る限り、日本のローカルど真ん中とも言える映画だが、サンダンスではどんな評価が?

「当初は日本らしいエキゾチズムが受け入れられるかなと思っていたのですが、それよりも都市に出られないローカルな町の閉塞感や10代の屈折した感情に共感を覚えてくれた人が多くて。主題歌として使った『17才』(南沙織のヒット曲)の歌詞もきちんと伝わっていて ...

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