福部明浩×永井聡「企画をジャンプさせる演出家の発想法とは?」
MATCHやカロリーメイトなどで数々のヒットCMを連発しているプランナー福部明浩さんとディレクター永井聡さんの2人。福部さんがほれ込む、永井さん独特のアイデアをジャンプさせる方法論とは?2人の対話から迫る。
拡散する時代 人を動かす表現はテレビCMに学べ
CM好感度ランキングで2年連続1 位を獲得しているauの「三太郎シリーズ」。このシリーズの制作でタッグを組んでいるプランナーの篠原誠さんとディレクターの浜崎慎治さんに、このCMの制作舞台裏について聞いた。
篠原▶浜崎さんと最初に仕事をしたのは2009年のパイロットのCMですね。その後、2011年から家庭教師のトライ、2015年からauの三太郎を一緒にやって。
浜崎▶篠原さんには僕がまだTYOにいる頃に声をかけてもらって、パイロットはコレト、アクロボールからフリクションのCMまで続けて作りましたね。以降はコンスタントに仕事で組んでいます。でも、最初の頃の僕はCMを10本もつくっていなかったはず。実績も名もないディレクターをよく選んでもらえたなと思います。
篠原▶ 浜崎さんのリールには自主制作のCMが入っていたんですけど、そのCMを見て単純に面白いなって。うまく言えないですけど、「何かを持っている人だな」って感じたんですよ。作ったものには制作者の人そのものが出ますから。
浜崎▶実家の醤油屋のCMのことですね。
篠原▶僕は「持っている」と感じた人には一回仕事をお願いすることにしています。仕事をしてみて、浜崎さんは面白がるツボが僕と近いけど、僕よりもしつこいところがいいと思ったんです(笑)。しつこくない人って「なぜそこを詰めないの?」ってイライラしてしまうから。でも、浜崎さんの場合は全部やり切ったものが届くし、悩んだときは「どうかな?」と聞いてくれるので安心です。
浜崎▶悩んだ時は確認はしますね。このCMが上手くいかなかったら自分はこの先、仕事が来ないんじゃないかとドキドキしてやってますから(笑)。
篠原▶CMは流れる回数が多いから、つまらなかったら国際大会で(=皆が見ている大舞台で)空振りするようなものですもんね。そんなわけで ...