マツダと資生堂が異業種コラボレーション

「SOUL of MOTION」

カバーをとると透明な瓶が現れる。
新フレグランス「SOUL of MOTION」
銀色のステンレスのフォルムに透明なボトル、見る人に洗練された印象を与えるデザインだ。これは自動車メーカーのマツダと化粧品ブランドの資生堂という業種の異なる企業同士のコラボレーションで生まれたフレグランス作品「SOUL of MOTION」。マツダのデザイン思想である「魂動(こどう)」を資生堂のデザイナーと調香師が表現した。
資生堂にフレグランスの制作を依頼したのはマツダだ。同社はこれまでも建築家や陶芸家とコラボレーションし、プロダクトをつくってきた。マツダ デザイン本部 本部長の中牟田泰さんは、「我々企業内のデザイナーは費用や時間といった現実的な条件からデザインを考えてしまいがち。さまざまな業種の“ 匠” と触れ合うなかで本質的なデザインに近づきたかった」と話す。
デザインを指揮したのは、資生堂のチーフクリエイティブディレクターの信籐洋二さん。広島にあるマツダ本社にも足を運び、マツダのクルマに対する思いを学んだ。「日本の美意識の中にある、研ぎ澄ましていくことで、洗練させていくという考え方を採用した。フレグランスの硝子瓶がステンレスで覆われることは通常ありえない、常識外にチャレンジするというマツダのスピリットを表現している」という。
香りはウッディーノートやレザーノート、ローズなどの香りを調合した。当初は、シトラス系で車に乗ったときの高揚感を表現したが、マツダ側からすぐさま別案を求められたという。資生堂のシニアパフューマーの森下薫さんは、「シトラス系などの慣れ親しんだ香りではなく、金属的な香りがいいと言われて驚いた。一般的にメタリックな香りは嫌がられてしまうため、その中でどう心地良さをつくるかがチャレンジだった。ライム系のシャープな香りとカシス系のグリーンを使って堅いイメージを入れることで表現した」と話す。
今回の試みは資生堂にとっても刺激のある試みになった。「インハウスデザイナーにとって他社の哲学を学び、デザインする機会はあまりない。社外から評価を受けることによる社内からの反響も大きく、インハウスデザイナーの価値を改めて実感してもらえる機会になった」(信籐さん)。
このフレグランスはアートとして制作しており販売する予定はないが、大阪にあるマツダのブランドスペースで「魂動」を体感してもらう試みとしてサンプルを配る予定だ。
- CD/信籐洋二(資生堂)
- AD/川合加奈子(資生堂)
- D/村岡明(資生堂)
- シニアパフューマー/森下薫(資生堂)
- 総合プロデューサー/早乙女百合子(資生堂アメニティグッズ)
金沢美大出身の8人が見つけた新たな金沢の魅力

01~06 展示作品イメージと展覧会ロゴ
金沢ブランド大解剖展に参加するみなさん。後列左より、高木正俊さん、鈴木勝彦さん、水口克夫さん、西岡範敏さん、石浦弘幸さん、前列左より月岡淳子さん、関谷奈々さん、横尾有希子さん、上村真由さん。そして、後ろのスクリーンに下浜臨太郎さん。
金沢ブランド大解剖展
2015年3月の北陸新幹線開通後、これまで以上に多くの観光客が訪れるようになった金沢。海山の幸、老舗菓子、伝統工芸品、観光地など、金沢のさまざまな魅力をもっと広く知ってもらうべく、9月21日より東京・浅草LIONで「金沢ブランド大解剖展」が始まる。本展では治部煮、加賀棒茶、加賀友禅、加賀水引、8番ラーメンなど、地元ではよく知られている食や伝統工芸などを「金沢ブランド」と名付け、金沢美術工芸大学出身のデザイナー8名がデザイン的視点で分析・解釈、再構築。それぞれの得意分野でアウトプットする。
本展に参加するのは主に広告・グラフィックデザインの分野で活躍する8名。水口克夫さん(Hotchkiss)、鈴木克彦さん(博報堂)、西岡範敏さん(西岡ペンシル) ...