「社長はもちろんのこと、“社員”の顔が見える会社の株を買いたい」─。企業サイトやアニュアルレポートでたくさんの社員を登場させている会社に注目している、とファンドマネジャーの藤野英人さんは主張する。その理由とは?
- 社員の挨拶が気持ち良く、オフィスの美観が保たれているか
- アニュアルレポートやサイトで、会社の姿勢が「見える化」されているか
- 「言行不一致」がないか
- 「社員がイキイキしている」「社員を大切にしている」ことが伝わるか
投資家に選ばれる企業の条件
5800人以上のトップと面談
私はプロの機関投資家として現在800億円弱の資金の運用をしています。運用先は日本企業の株式です。
みなさんは日本企業の株式の投資というとどのような仕事をしていると思われるでしょうか。複数のモニター画面が備わった机に座り、株価の過去の値動きのチャートや世界のニュースや経済動向を読みながらクールに売買をしている仕事をしている、というようなイメージが強いと思われます。
もちろんそのような面もありますが、実際は企業の社長やIR担当者にお会いしたり、会社の製品や商品やサービスを実際に体験したり、さらには工場を見学したりして、地味で地道な調査の連続が私たちの仕事の中心です。そのような調査が結実して、運用しているひふみ投信は3年連続ファンドの格付け機関であるR&I社のファンド大賞を受賞しています。
私たちが、投資する企業を選択するための調査をするときに何を見ると思いますか?もちろん貸借対照表や損益計算書、会社のパンフレット、アニュアルレポート、ホームページ、目論見書、有価証券報告書、決算短信などの情報をきちんと読み込むことはとても大事です。しかし、机の前に座ってデータをメカニカルに分析するだけではファンドマネジャーとして良い成績をあげることはできません。経営者や社員の話を聞いたり、実際に会社を見たりと、その雰囲気を肌で感じることが大切なのです。
最も重要なのは、会社のトップである経営者の戦略、手腕、キャラクターを知ることです。もちろんこれは中小企業のみにあてはまるのではなく、大企業でも重要になってきています。私は毎月多くの会社のトップの方と面談をしており、今までに5800人以上の社長の方とお会いしています。その中で優秀な会社の経営者を見出すことが投資成果につながります。
企業の本質は株価に反映される
ファンドマネジャーという仕事はサイエンスであることはもちろん、アートであるといえます。常に動いている経済の中で ...