「宣伝会議賞」の課題には、実際にそのサービスや商品を体感して取り組むことができるものだけではなく、BtoB企業の施策や、企業コピーを考える課題も多数存在します。「難解」とも言われるこうした課題に取り組むためのポイントを、審査員の蛭田瑞穂氏が解説します。
どんなに複雑な課題でも突破口は必ず存在します!
BtoB企業の課題が難解と思われる理由はその事業や製品を自分ごとにするのが難しいからだと思います。飲料や食品であれば、自分自身がユーザーでもあるので製品のベネフィットが容易に理解できます。しかし、馴染みのないBtoB企業の場合、事業内容を調べて理解する必要がある上、BtoB企業ほど事業内容が複雑で理解が難しい…。それでも、どんなに難解な課題でも突破口は必ず存在します。これまで多くのBtoB企業の仕事に携わり、宣伝会議賞の審査員も務めてきた経験を踏まえて、「今日から使える10のポイント」を取り上げてみます。BtoB企業の課題に初めて取り組むという方、取り組んだことはあるけれど、今ひとつ苦手という方はぜひご一読ください。
1 パーパスを見つける
一般的にBtoB企業はビジネスの規模が大きく、社会貢献度が高い傾向にあるといわれます。それはつまり、事業や製品のパーパス(存在意義)が明確であり、言語化しやすいということでもあります。パーパスと聞くと難しく感じるかもしれませんが、要は「そもそも、この事業や製品の目的って何だろう」という視点を持ってみよう、ということです。例えば、スマホに搭載されるコンデンサは、それ自体は小さな部品ですが、「そもそも何のために存在するの?」という問いを立てると、「(スマホを通して)世界中の人々の便利な暮らしに貢献する」といった目的が見えてきます。このように「そもそも」という視点でBtoB企業の事業を見てみると、その先にはより高い目的があるのがわかります。企業のパーパスはコピーライターが携わる領域として今後ますます重要になるのは間違いないので、BtoB企業の課題に取り組む際の重要なポイントとして、まず「パーパスを見つける」を挙げたいと思います。
2 集約する
高度で複雑な技術が注ぎ込まれた製品であっても、突き詰めると意外と簡単な言葉で説明できるものです。例えば、デジタルカメラに内蔵されるイメージセンサーであれば「描く」でしょうか。事業や製品の本質的な価値を突き詰め、集約させたひとことは、いわばダイヤの原石。次は、その言葉のさまざまな表現方法を探り、磨き上げてみましょう。そうして生まれたコピーは表現として飛躍がありながらも地に足のついたコピーになっているはずです。
3 例える/見立てる/なぞらえる
説明が難しい内容について話す時、人はあれこれ例えを駆使して、どうにか理解してもらおうと...