第61回の作品募集開始を前に、第60回「宣伝会議賞」シルバー受賞者座談会を実施。これまでの取り組みや今後の目標について、6名に改めて話を聞きました。
「これだけやっても届かないんだ」という絶望感はありました。
──これまでどのようなモチベーションで取り組んできましたか。
内野:「宣伝会議賞」は受賞することがキャリア形成に直結するアワードだと考えています。私自身はメーカーに勤務しているのですが、クリエイティブに携わりたいという思いがあり、実績をつくりたくて応募しました。今回の受賞をきっかけに、社内報の編集を任せてもらうことに。応募は今回で3回目です。
塩月:私は前回3度目の挑戦で受賞しました。最初の応募は20数年前。現在はテレビ局で記者とカメラマンをしていますが、当時はフリーターで、将来の仕事のきっかけをつくれればと思い応募しました。第60回は10年ぶりの応募でした。普段はニュース原稿を書いているのですが、それだけだと“言葉をつくる脳”が鈍っていると感じたので、刺激を与えるために挑戦しました。
密山:宣伝会議「コピーライター養成講座」の基礎コースを受講したことがきっかけで、応募を始めました。一流のコピーライターの方々にコピーを見ていただける機会は他にはなかなかないので、今は力試しとして毎年応募しています。
小川:20年くらい前、大学生のときにコピーライターという仕事があることを知ってから応募を始めました。新卒で出版物専門商社に就職してから広告制作会社に転職した私にとって、自分の書いたコピーが第三者から評価されたという事実は仕事でアピールできるので、ここ数年は時間をつくって取り組んでいます。
野田:私は大学卒業後に普通に就職したのですが、何か書く仕事をしたいという思いは持ち続けていました。初めはエッセイの公募などに応募していましたが、なかなか結果が出ず。「宣伝会議賞」を知ったのは第38回のとき。初応募で協賛企業賞をダブルでいただけて、贈賞式の場も非常に楽しくて⋯すぐにコピーの世界にはまってしまいました。若いころは本職にできたらと思っていましたが、今は何か新しい表現をつくりたい、世の中に提示してみたいという思いで取り組んでいます。
向井:初応募は14年程前。当時、専門学校でデザインを勉強していました。卒業して2年くらい経ったときにシルバーをいただき、もう少し続けたら自分の中に形になるのではないかと思って、今に至ります。
──改めて、シルバー受賞の感想をお聞かせください。
内野:ファイナリストの作品を誌面で見たときに、素晴らしい作品ばかりだと感じて⋯。強敵揃いで、受賞できるとは思っていませんでした。贈賞式で協賛企業の方々と交流できたのも嬉しかったです。
塩月:10年ぶりの応募で、一次審査を通ったのもこの1本だけだったのでファイナリストに残ったのも信じられなくて⋯。今回は自分が生まれて初めて虫歯を治療した直後だったので、実体験に基づいた言葉が強いのかな、と改めて感じました(編集部注/パナソニック「キッズドルツ」の動画広告部門で受賞)。
密山:私はファイナリスト30作品中3本が残っていて、正直、これだけやってもグランプリに届かないんだ、という絶望感はありました。もちろんシルバー受賞の喜びはあるのですが、あと一歩がどれほど遠いんだと⋯。ただ終了後に、コピー仲間と打ち上げができたのは良い思い出になりました。
小川:私は今回、新婚旅行のため贈賞式に出席できず、YouTubeライブで見ていました。一次審査通過は2本だけだったので、シルバーで名前が呼ばれたときは全身に鳥肌が立ちました。
野田:このタイプの作品がグランプリになったことはなかったので、どうかなと思っていた...